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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

春の出会い

2025年03月17日
志摩 三好 明
みなさん、こんにちは。
伊勢志摩国立公園管理事務所アクティブ・レンジャーの三好です。
3月も半ばを過ぎて、季節は暖かな春の到来となりました。ぽかぽかの陽射しを浴びると、心身共に元気が出てくるような気持ちになります。一方で、大敵である花粉の飛散がもの凄くなってきましたね。早くもここ例年なかった花粉症にかかってしまい、大量の鼻紙と、鼻炎薬のお世話になっております。
みなさんはいかがお過ごしでしょうか。
さて、今回は志摩市で撮影した鳥たちを中心に紹介したいと思います。本来、この季節に見られる鳥や昆虫、花たちは、ものすごい種類の種が活動しているのでしょうが、なにぶん行動範囲が狭いのと、私の観察力の低さから、これまでに紹介したことのある仲間たちが中心に出てきます。ご了承ください。
季節は3月前半から3月中旬で、2024年度最後の日記です。

「春の出会い」
 

【メジロ】
横山園地(志摩市)へ向かう沿道のサクラが、ちらほら咲き始めました。いい香りに誘われて来るのでしょうか。メジロが数匹楽しそうに戯れています。スズメ目メジロ科メジロ属に分類される鳥類で、全長約12㎝で、スズメよりも小さいです。春を告げる鳥として親しまれ、室町時代から「メジロ」の名で呼ばれています。留鳥(年間を通して同じ場所に生息する鳥)または漂鳥(ある地域内で季節によって居所を変える鳥)として全国に広く分布しますが、花の蜜が大好物で、春になると花の蜜を求めて南から北へ移動するものもいるそうです。「チー、チー」と地鳴きします。かわいいですね。


【ハクセキレイ】
小雨が降る中、伊勢志摩国立公園管理事務所付近にある駐車場へ行ってきました。川近くということもあり、ハクセキレイが元気に飛び回っています。スズメ目セキレイ科セキレイ属に分類される留鳥または漂鳥で、冬場の積雪地でも観察されます。全長約21㎝。前回の日記では、「ノー」と撮影を拒否されましたが、今回はかわいい姿を撮らせてくれました。日本では、5月から7月に一腹45個の卵を産むそうです。「チュチン、チュチン」と地鳴きし、飛翔時は「チチッ、チチチッ」と鳴きます。この日は寒かったですが、この子は活動的でした。


【ツグミ】
志摩市内にある小さな公園から曇り空を見上げると、電線にはツグミが羽根を休めていました。スズメ目ツグミ科ツグミ属に分類される鳥類で、夏季にシベリア中部や南部で繁殖し、日本には冬季に越冬のため飛来(冬鳥)します。全長約24㎝。和名の由来は、冬季に飛来した際に聞こえた鳴き声が、夏季になると聞こえなくなる(口をつぐんでいると考えられた)ことからという説もあります。「キイ、キイ」「クワッ、クワッ」「ツィ-」などと地鳴きします。福井県の県鳥に指定されています。


【ジョウビタキ】
冷たい小雨が降った日に、横山園地内にある芝生広場(志摩市)へ行ってきました。そこには、蓑をまとったようなジョウビタキが小枝で休憩中。寒いからでしょうか。ころころになって寒さをしのいでいるように見えます。スズメ目ヒタキ科ジョウビタキ属に分類される鳥類で、全長約14㎝。冬鳥として全国に渡来しますが、国内での繁殖も拡大しています。縄張りを作って同種を排斥する習性があり、鏡に映った自分の姿にも攻撃を加えるそうです。「キッ、キッ」「カッ、カッ」と地鳴きします。和名の由来は、この「カッ、カッ」と鳴く音が、火を焚くときの火打石を打ち合わせる音に似ていることから、「火焚き(ヒタキ)」の名が付いたとされています。


【キジバト】
横山展望台へ向かう石段を歩いていると、前方にすたすた歩く何かが見られました。よくよく見るとキジバトで、道先案内人のように先を歩いてくれています。ハト目ハト科キジバト属に分類される鳥類で、キジの雌に体色が似ていることから名付けられたということです。林の中から「クーク、グッ、ググー」と鳴く声をよく耳にします。全長約33㎝。留鳥または漂鳥として、本州以南の市街地や亜高山帯まで広く分布します。


【ムクドリ】
志摩市内の住宅街にある電線に留まっていたのはムクドリです。スズメ目ムクドリ科ムクドリ属の鳥類で、全長約24㎝。「キュル、キュル、キュル」「ギャーギャーギャー」と少々濁った声で鳴きます。留鳥または漂鳥で、九州以北に分布します。黄色い嘴と足が特徴で、似ている仲間のヒヨドリと区別できます。さりげなく留まっていましたが、市街地でもいろんな鳥が見られることを、再発見しました。


【ヒヨドリ】
横山園地(志摩市)の創造の森近くでは、ツバキの花にヒヨドリが留まっています。スズメ目ヒヨドリ科ヒヨドリ属の留鳥または漂鳥として全国に分布し、平地から山地の林、市街地などに広く生息します。全長約27㎝。「ヒーヨ、ヒーヨ」「ピッピッピッピピ」と甲高く鳴きます。この子の嘴は黄色いので「ムクドリか!」と思いましたが、ツバキの蜜や花粉自体を食べていると黄色くなる個体もいるそうです。おしゃれでかわいいですね。


【ビンズイ】
安乗崎園地(志摩市)の芝生には、ビンズイたちが食事中です。スズキ目セキレイ科タヒバリ属の鳥類で、漂鳥または夏鳥として四国以北の山地で繁殖し、冬は暖地に移動します。全長約15㎝。「ヅィーッ、ヅィーッ」と地鳴きします。近似のタヒバリとは、目の後方の白斑の有無で識別できます。でも、本当によく似ているので、同定するのに苦労しました。


【ヤマガラ】
3月も中旬を過ぎると、横山園地(志摩市)の道路沿いにはカワヅザクラが見頃を迎えます。そこに、小さなヤマガラが枝先に留まりました。スズメ目シジュウカラ科ヤマガラ属に分類される鳥類で、全長は約14㎝。日本では、北海道から五島列島まで分布します。地中や樹皮の隙間などに果実を蓄えることもあり、夏季は主に動物質(昆虫、クモなど)を、冬季は主に果実を食べるそうです。「ニーニー」「ツィーツィー」と鼻に掛かったような声で地鳴きします。


【アオモジ】
 横山園地(志摩市)では、この季節にあちこちでアオモジの花が咲き誇っています。小さな白い花をたくさん付ける姿を見ていると、春が来たな~と感じさせてくれます。クスノキ科ハマビワ属の落葉小高木で、暖かい地方の山野に生息します。ウメやサクラは有名ですが、ここではアオモジも主役です。


【ウメ】
雨後の横山園地(志摩市)で、一輪のウメの花を見つけました。季節的にはもうすぐサクラにバトンタッチですが、この花は今が満開で、そこに雨粒が光り輝き、まるで宝石のようにさえ見えます。バラ科サクラ属の落葉高木、またはその果実を指し、白梅や紅梅など、約300種以上の品種があるそうです。素直にきれいだな、と感じました。
 

【タネツケバナ】
横山園地(志摩市)の片隅には、小さなタネツケバナが咲いていました。アブラナ科タネツケバナ属の一、二年草で、日本全土の湿地や田畑などに生育します。暗い闇から浮かび上がる純白な花は、見ていると引き込まれそうな魅力を感じます。


【キブシ】
横山展望台(志摩市)近くでは、キブシの花が満開を迎えています。キブシ科キブシ属に分類される落葉低木で、北海道から九州に分布する日本固有種です。葉や果実の形や大きさに変異が多く、多くの変種、品種があるそうです。この花を見るまでは、まったくその存在に気付かず、ふと見るとそこにあった、という感じでした。こんなきれいな花に対して、失礼をしました。


【ハマヒサカキ】
冬には、ゴマ塩みたいに小さく堅い蕾を枝いっぱい付けていたハマヒサカキがやっと咲きました。横山園地(志摩市)にある芝生広場で初めて見つけた時には、こんな小さな蕾みから花が咲くのかな、と思っていましたが、こんなかわいい花が咲くのですね。感動です!モッコク科ハマヒサカキ属に分類される常緑小高木で、千葉県、愛知県以西の本州、四国、九州、沖縄に広く分布します。出会えて良かったです。

終わりに


いかがでしたか。
今回は、この時期に見られた鳥たちを中心に、伊勢志摩国立公園の動植物の一部を紹介しました。こちらでは、比較的普通に見られるこの子たちですが、視野を広げれば、この公園の自然があればこそ「普通」に出会うことができると思っています。当り前にならないように、これからも人と自然の調和を大切にしていきたいものですね。
 
自然を大切に!


【ニホンミツバチ】

 
令和6年度 環境省 レンジャー写真展のご案内

中部地方の「国指定藤前干潟鳥獣保護区」、「白山国立公園」、「伊勢志摩国立公園」の豊かな自然の保護と利用を推進するレンジャーとアクティブ・レンジャーが撮影した活動の様子や自然の風景、生きものの写真を、白山・名古屋・伊勢志摩の3地域を巡回して紹介しています。
令和7年3月20日(木・祝)から令和7年3月30日(日)までの開催となります。
令和6年度最後の写真展です。

みなさん、ぜひ横山ビジターセンター(志摩市)へお越し下さい。
詳しくはこちらまで・・・。
https://chubu.env.go.jp/press_00041.html