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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

春近し!

2025年02月20日
伊勢志摩国立公園 三好 明
みなさん、こんにちは。 
伊勢志摩国立公園管理事務所アクティブ・レンジャーの三好です。
早いもので2月も中旬を過ぎましたが、上旬の極寒が少し緩んだかと思うと、またまた大寒波が押し寄せてくるなど、2月はやっぱり寒いな、と痛感させられる日々を過ごしています。これまで、特に寒さに弱かった訳ではなく、この季節が一年の中でも好きだったのですが、寄る年波でしょうか。寒さが体に堪えてくるようになりました。みなさんは、この季節いかがお過ごしでしょうか。
さて、今回は志摩市で撮影した植物をご紹介しますが、相変わらず動物は撮ることができませんでした。ただ、小鳥の姿や声は多く見聞きすることができるようになり、春の足音を感じ取ることはできました。

春近し!


【ニホンスイセン】
暖かな日に花を撮りに出掛けました。そこには、一片の日差しを浴びたニホンスイセンが光り輝いており、「こんにちは。」と話し掛けられているような気持ちになりました。ヒガンバナ科スイセン属の多年草で、花には芳香があり、ヒヤシンスやジャスミンに似た香りがします。素朴ですが宝石のようにきれいです。


【セイヨウアブラナ】
春が来ましたよ!と告げてくれるのは、黄色い花が魅力のセイヨウアブラナです。アブラナ科アブラナ属の二年生の帰化植物ですが、食用油の原料として、世界中で広く栽培されています。日本には明治時代初期に入ってきました。早春の色そのものですね!


【ビワ】
この季節に山へ入ると、頭上には青空とビワの大木が飛び込んできました。バラ科の常緑高木で、日本には古代に持ち込まれたとされています。ビワの木は庭に植えるな、と言われますが、縁起が悪いという迷信や、日当たりが悪くなるという理由が考えられています。でも、青空にはよく映えますよね。


【タネツケバナ】
湿地周りに、小さなタネツケバナが咲いていました。アブラナ科タネツケバナ属の越年草、あるいは一年草で、日本全土の水田、あぜ道、湿地などの水辺に自生します。1月後半にも出会えたのですが、その後の寒波で一度花が散りました。でも、この時期にまたかわいい花を付けてくれて感謝です。


【ヤブツバキ】
一輪のヤブツバキの花が華麗に咲いていました。ツバキ科ツバキ属の常緑樹で、照葉樹林の代表的な樹木です。白い花もあり、花は終わると首ごと落下します。近似のサザンカは、花びらが一枚ずつ独立しているので花弁がはらはらとばらけますが、ツバキは、花弁が根元でつながっているため、散る際には花ごとぽとりと落ちます。日本固有種です。


【アオモジ】
山間では、アオモジの蕾が開花を待っています。クスノキ科ハマビワ属の落葉小高木で、暖かい地方の山野に生えます。地域によっては「卒業花」という名前で呼ばれる場合もあり、開花時期がちょうど卒業式の3月頃に咲き誇ることからだそうです。次回は満開に咲いているところをお見せしたいです。


【キブサスイセン】
キブサスイセンはヒガンバナ科の多年草ですが、スイセンの分類としては、ニホンスイセンと同類の「房咲きスイセン」に分類されます。日本には大正時代に渡来し、園芸品種としてよく栽培されています。スイセンは色や形の異なる種や品種が多くありますが、どれもきれいですね。


【ナズナ】
湿地に足を運ぶと、ナズナの小さな花が満開に咲いていました。アブラナ科ナズナ属の越年草で、別名ペンペングサと呼ばれています。春から夏にかけて、白い花と三角形の果実を付けます。春の七草の一つで、若苗や若葉は食用になります。


【ホトケノザ】
路肩に咲いているのはホトケノザです。シソ科オドリコソウ属の一年草あるいは越年草で、七草に数えられる「仏の座」とは別物です。種子には、アリが好むエライオソームと呼ばれる物質が含まれており、これによってアリの手で遠くまで運ばれ、芽吹くことが知られています。


【シャリンバイ】
海岸近くでは、シャリンバイが開花に向けてスタンバイしています。バラ科シャリンバイ属の常緑低木で、4月から6月頃に香気のある白い花を咲かせます。花言葉には「純真」「そよ風の心地よさ」「愛の告白」があり、開花の時期がちょうど気持ちの良い気温の時期なので、そこから来ているそうですよ。


【ノゲシ】
道端に生えていたのはノゲシです。キク科ノゲシ属の多くは一年草で、和名に「ケシ」が付きますが、ケシと葉が似ているだけで、分類上はまったく別物です。茎は中空で、折れると乳白色の液を出します。寒空の中、花を咲かせようとがんばっています。


【アセビ】
山へ入ると、アセビがひっそりとたたずんでいました。ツツジ科アセビ属の常緑性の低木で、本州、四国、九州に自生します。漢字では「馬酔木」と書き、葉に有毒成分が含まれることから、馬が葉を食べれば毒に当たって苦しみ、酔うが如くにふらつくようになる木、ということからその名が付いたそうです。


【スミレ】
淡い色合いでかわいく咲いていたのはスミレです。スミレ科スミレ属の植物の総称ですが、類似種や近縁種も多く、同定することができませんでした(コスミレと思うのですが・・・)。北海道から屋久島まで、日本列島に広く見られ、日当たりの良い土手や野原などに自生します。都会のコンクリートのひび割れなどからも、顔を出すことがありますよね。


【タンキリマメ】
湿地を歩いていると、タンキリマメの熟して割れた実が目に入りました。マメ科タンキリマメ属のつる性多年草で、別名、「キツネマメ」「ウイロウマメ」とも呼ばれています。名前の由来は、種子を食べると痰を止める作用があるという俗説からきています。富山県では、絶滅+野生絶滅に指定されています。


【アナベルの新芽】
冬枯れしたアナベルの花を覗くと、新芽が顔を出していました。アジサイ科アジサイ属の落葉低木で、6月から9月頃に大きな白い花を咲かせます。春を告げる光景ですが、なぜか不安な気持ちになるのは私だけでしょうか。

終わりに

いかがでしたか。

今回は、春がもうそこまで来ていることを知るいい機会になりましたが、暖かさとともに、寒さも十分知ることができました。本当は、もっと春らしい明るい写真を出したかったのですが、まだまだ残る底冷えの寒さを思うと、それでもいい色をした草花に出会えたなと思っています。
3月に入ると花だけでなく、昆虫たちも顔を見せてくれると思いますので、がんばって紹介しますね。

自然を大切に!


【ムラサキカタバミ】