中部地方のアイコン

中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

春の匂い

2025年02月06日
伊勢志摩国立公園 三好 明
みなさん、こんにちは。
伊勢志摩国立公園管理事務所アクティブ・レンジャーの三好です。
早いもので、1月も終わり2月に入りました。この時期は、一年を通して一番寒いはずですが、1月はなぜかぽかぽか陽気が続き、また、雨もほとんど降らず、湿地へ行くとカラカラに干上がっているような状態でした。ただ、2月に入った途端に心底身震いするほどの寒さが続き、本来の季節がやってきたと実感している今日この頃です。
個人的には、正月からの腰痛が今ひとつで、注射を打ちながら生活しています。みなさん、体調管理はいかがですか。
さて、今回は1月中旬から下旬にかけて、志摩市、南伊勢町で撮影した植物たちです。昆虫などの動物については、相変わらず目にすることができませんでした。私の観察力のなさが原因です。スミマセ~ン!

春の匂い


【スイセン】
春といえばスイセンではないでしょうか。ヒガンバナ科の属の一つで、早春に花を咲かせる球根植物です。香りも良く、縁起の良い花とされており、色や形の異なる種や品種が多くあります。この子はペーパーホワイトという品種で、江戸時代に薬草として持ち込まれた外来種です。ニホンスイセンが黄色い副花冠であるのに対して、真っ白に染まっているのが特徴です。ただ、匂いは今ひとつということですが、真っ白で本当にきれいです。


【オニタビラコ】
オニタビラコが、今にも満開の花を咲かせようとしています。キク科オニタビラコ属の越年草で、道端などに自生しています。春から秋にかけて開花しますが、暖かい地域では年中花をつけるそうです。コオニタビラコは春の七草の「ほとけのざ」のことですが、間違われてオニタビラコも使われることがあるそうです。間違いではあっても、食べても問題はないそうですよ。


【タネツケバナ】
湿地へ足を運ぶと、小さな小さな花が咲いていました。アブラナ科タネツケバナ属の植物で、水田などの水辺に群生しています。名前の由来は、イネの種籾を水につけて、苗代作りの準備をするころに白い花を咲かせることから「種漬け花」と名付けられたといわれています。宮崎県では絶滅危惧ⅠA類(CR-r)に指定されています。


【ノキシノブ】
山に入って頭上を見上げると、ノキシノブが光を浴びて輝いていました。ウラボシ科ノキシノブ属に属するシダの一種で、和名は、軒下などにも生え、シノブのように着生することから付けられました。北海道南部以南の日本全土に分布する在来種です。ノキシノブ属は、日本に10種ばかり知られていますが、全体の姿がよく似ているため、同定には鱗片の様子などを見なければならないそうです。


【サザンカ】
冬の寒さが大好きなサザンカは、真っ赤な花を咲かせています。ツバキ科ツバキ属の常緑広葉樹で、ツバキよりも花がやや小形であることから、コツバキなどの別名もあります。花の中をそっと覗いてみると、花粉をいっぱい付けた雄シベがかわいらしく顔を覗かせています。


【ヒサカキの冬芽】
山を歩いていると、枝に黒い粒をいっぱい付けたヒサカキの木を見つけました。モッコク科ヒサカキ属の常緑小高木で、3月~4月に白い花を下向きに多数咲かせます。和名の由来は、サカキに比べて小さいことから「姫サカキ」が転訛してヒサカキになったそうです。秋田県では絶滅危惧ⅠB類(EN)に指定されています。


【コハコベ】
水辺に目を凝らしていると、これまた小さな花がかわいくポツポツ咲いていました。コハコベは、ナデシコ科ハコベ属の越年草で、単にハコベとも呼ばれています。昔、家でインコを飼っていた時に、庭に生えていたハコベをやると喜んで食べていたのを思い出しました。白い小花が魅力的です。


【ノイバラの実】
赤い顔にちょこんと帽子をかぶっているのはノイバラの実です。ローズヒップっと言ったほうがよくご存じかも知れませんね。ノイバラの花が落ちた後にできる花の根元が膨らんだ部分をいいます。甘酸っぱい味が特徴です。バラ科の落葉性のつる性低木で、沖縄以外の日本各地の山野に多く自生します。


【コセンダングサ】
道端で華麗に咲き誇っているのはコセンダングサです。キク科センダングサ属の一年草で、繁殖力が強く、一面を覆い尽くす勢いで広がります。江戸時代に日本に渡来したと考えられ、外来生物法で要注意外来生物に指定されています。でも背景を含めてきれいですね。


【ノリウツギ】
ノリウツギは、アジサイ科アジサイ属の落葉低木で、和名の由来は、かつて製紙用にこの木の樹皮から糊を採ったことにあります。花期は7月~8月で、枝先に白色の小さな両性花を咲かせます。果実は冬まで残り、強風時に折れて転がり、種子を遠くまで運ぶそうです。枯れていてもきれいです。


【オランダカイウ】
湿地に一輪だけ大きな花が咲いていました。オランダカイウは、サトイモ科オランダカイウ属の多年草で、1843年オランダ船により渡来したことからその名があります。3月~6月ころに白色の苞を巻いた黄色の肉穂花序を付けます。その花言葉は「壮大な美しさ」で、まさにこの季節で見られる壮大な一輪です。


【ウメ】
春には少し早いかな、と感じているこの季節に咲き始めるのがウメの花です。バラ科サクラ属の落葉高木で、「ウメ」は、木またはその果実のことを言います。一年枝は、緑色でほぼ無毛ですが白色の細かな点があり、老木の樹皮にはウメノキゴケなどの地衣類がよく付きます。日本では古くから栽培されており、野生化もしているそうです。

終わりに

いかがでしたか。今回は、冬から春になり始めるころに見られた植物を紹介しましたが、思っていた以上にきれいな花々が見られました。地味な印象が先に来て、カメラを向ける目が曇りがちになりましたが、よくよく周りを見渡すときれいな花々が咲いていることを知りました。冬には冬の、春には春の植物がおり、その隙間を縫うように、またその時期の植物がいるのですね!勉強になりました。

自然を大切に!


【ミノムシ(抜け殻)】
 
横山展望台にお越しのみなさまへ