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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

冬色

2025年01月22日
伊勢志摩国立公園 三好 明
みなさん、こんにちは。
伊勢志摩国立公園管理事務所アクティブ・レンジャーの三好です。
1月も後半に入り、寒さが厳しくなるのかなと思いきや、最近は春のようなぽかぽか陽気が続いており、もう春が来たの?と勘違いしそうなほどにおかしな天候に悩まされているのは私だけでしょうか。おかげで体調は今ひとつで、体力だけでなく気力も沸いてこないのは気候のせいかしら、と悩んでいます。みなさん、体調管理いかがですか。
前回は、動物の振り返りをして、冬の寂しさを忘れていただこうと企画しましたが、今回は、この時期に撮った、枯れ草の中にもきれいな色や景色があるところを見てもらえればと思っています。
季節は12月後半から1月中旬で、志摩市、鳥羽市で撮影しました。

冬の景色


【モミジ】
冬の寒さに、モミジの葉っぱも後は枯れて落ちていくだけになりました。最後の枯れモミジは色も抜けて単調な色彩になっていますが、それはそれで大変きれいですね。


【ヤマノイモ】
ヤマノイモは、ヤマノイモ科ヤマノイモ属のつる性多年草です。果実は枯れるとブドウの房みたいにきれいに形を残します。こんな美しい造形が見られるのは冬だからと思うと感謝です。


【オニタビラコ】
この寒さの中でも、オニタビラコは花を咲かせようとしています。キク科オニタビラコ属の越年草で、道端や庭などに普通に自生する雑草です。秋口の色鮮やかな花々が咲いていた頃にはほとんど感心がなかったのですが、この時期に改めて見ていると、なんと魅力的な植物でしょう。


【セイタカアワダチソウ】
秋にはものすごい勢いで咲き誇っていたセイタカアワダチソウも、今ではすっかり枯れてしまいました。ですが、夕日を浴びて金色に光り輝く姿は渋くてきれいです。キク科アキノキリンソウ属の多年草です。


【センダングサ】
センダングサはキク科の一年草又は多年草で、センダングサ属は世界に約240種あり、日本には数種が自生しているそうです。線香花火がパチパチ弾いているような姿は見ていて飽きないです。


【ミズヒキ】
ミズヒキは、個性的な枝を残して休息している様子です。タデ科イヌタデ属に分類される多年草で、8月~11月ころ開花します。この子を見ていると「YU」の文字に見えるのですが・・・。枝自体はしなりがあるようで、枯れている訳ではありません。


【アジサイ】
梅雨時期に満開の花を見せてくれたアジサイの花も、もうすっかり色が抜けています。それでもわずかにピンク色の面影を残しているところがいじらしさを感じさせます。形も満開時と同じように球形をしており、自然の面白さを感じます。


【ヒメジソ】
湿地にはヒメジソの抜け殻がかわいく残っていました。まるで鈴をいっぱい付けたような枝はリンリンと音を奏でそうです。シソ科イヌコウジュ属に分類される一年草で、9月~10月に小さな白い花を咲かせます。思い出してもかわいい花でした。


【サルトリイバラ】
山林に入っていくと、サルトリイバラの真っ赤な実が目に飛び込んできました。サルトリイバラ科シオデ属に分類される落葉つる性の多年生植物で、山野や丘陵に自生する雌雄異株のつる性の半低木です。茎には棘があり、秋に赤い果実をつけます。この子は葉やつるは枯れていますが、赤い実はこの季節まで落ちずにがんばっていたんですね。


【ツワブキ】
長く咲いていたツワブキの花も、すっかり萎んでしまいました。キク科ツワブキ属に分類される常緑多年草で、海岸近くの岩場などに黄色い花を咲かせます。最近、鹿児島県で白いツワブキの花が発見されたことがニュースになりましたが、私もぜひ探してみたいですね。


【ヌマダイコン】
秋口の湿地で、白くてかわいい花を咲かせていたヌマダイコンもすっかり枯れていました。キク科ヌマダイコン属に分類される多年生の草本で、その種子は引っ付き虫になります。私も何度か触りましたが、粘り気のある付き方で、少々手を振っても取れるようなものではありません。地域によっては絶滅(EX)しているほど希少な植物ですが、懐かしい思い出です。


【タイトウカマツカ】
山へ入っていくと、タイトウカマツカが小さな赤い実をいっぱい付けていました。色の少ないこの季節では特に目を引きます。原産地の台湾では絶滅が危惧されているそうです。


【スイセン】
この時期にきれいに花を咲かせてくれるのはスイセンです。ヒガンバナ科スイセン属に分類される多年草で、12月~4月ころに開花します。毎年スイセンがいい香りを放ち出すと、春が近いことを感じます。スイセンの花言葉の中に「自惚れ」がありますが、真っ白な気持ちでスタートしたいと考え、あえてモノクロにしました。


【月】
夕方が近づいてくると、半月が顔を見せていました。冷え切った空気のなか、冬の寸景が寒さを感じさせてくれます。凜とした空気感がいい感じです。

終わりに

いかがでしたか。

冬の伊勢志摩国立公園内では、雪が降ることはほとんどありませんが、朝晩の冷え込みや、日中の風の冷たさなどから冬の厳しさは十分感じ取ることができます。草花を見ていても枯れているか、じっと葉を落として来たるべき春を待っているのかが見て取れます。また、殺風景な景色の中にも、いろいろな自然の色合いがあり、派手さはありませんが「冬色」が渋くて私は大好きです。
この澄んだ空気やきれいな草花がいつまでも残ることを願っています。

自然を大切に!


【ススキ】