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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

2024年に出会った仲間たち

2025年01月16日
伊勢志摩国立公園 三好 明
みなさん、2025年明けましておめでとうございます。
伊勢志摩国立公園管理事務所アクティブ・レンジャーの三好です。
今年もアクティブ・レンジャー日記をよろしくお願いします。
早いもので、令和7年も1月半ばとなり、こちらでは雪こそ降らないものの、寒さにも痛さが伴うような季節になってきました。本格的な冬です。
私の方は、正月早々「風邪」に掛かってしまい、高熱と倦怠感、食欲不振との闘いになりました。あるニュースでは、今年の1月後半がインフルエンザのピークと言われており、例年にない勢いで広がっているようです。「風邪」ではありましたが、改めて手洗いやうがいの大切さを痛感した次第です。みなさんは、いかがお過ごしですか。
さて、動植物を求めて、昨年から国立公園内を走り回っていますが、さすがにこの季節になると、目に留まるような動植物を見る機会が本当に少なくなりました。特に動物については、野鳥の鳴き声は耳にしますが、撮影まではとてもできません。
そこで今回は、最近とんとお目に掛かれない仲間たちを、季節に関係なく振り返って見ていこうと思います。未発表のものだけです。

2024年に出会った仲間たち


【落ち葉】
12月の山道には、モミジを初めとするきれいな落ち葉がたくさん積もっています。色とりどりで、見ているだけでも心が和みます。秋・冬に落ちた葉は、新鮮な空気にさらされながら地表で微生物によって分解され、最後はミミズなどによって分解されて肥えた土になるそうです。(撮影日:12月23日)


【モンキアゲハ】
食事中のモンキアゲハに出会いました。かつて南方系蝶と言われていましたが、最近では各地で見られるようになりました。アゲハチョウ科に分類されるチョウの一種で、日本最大級のチョウと言われています。初夏の素敵な出会いです。(撮影日:9月18日)


【ミヤマアカネ】
湿地ではミヤマアカネのメスが休憩中です。トンボ科アカネ属のトンボの一種で、7月~11月ころまで見られます。三重県では準絶滅危惧種(NT)に指定されています。お尻を上げるのは暑さ対策だと考えられていますが、ポーズが最高にかわいいですね!(撮影日:9月19日)


【オオスズメバチ】
オオスズメバチは肉団子を作成中です。近寄ってもまったく動じるところがなく、黙々と作業に集中しています。スズメバチ科スズメバチ属の大型バチで、大きさは3㎝~4㎝くらいと、かなり個体差があるそうです。働きバチの寿命は3ヶ月~5ヶ月程度で、日本の自然環境に非常に適応しています。(撮影日:9月26日)


【マユタテアカネ】
大好きなマユタテアカネは生き生きとしています。トンボ科アカネ属のアカトンボで、体長31㎜~43㎜で、アカトンボの仲間ではやや小型の方です。成虫の寿命は長くても数ヶ月で、卵で越冬し、一年一世代で生活します。東京区部では絶滅危惧ⅠB類(EN)に指定されています。この子が元気に飛び回っていたころが本当に懐かしいです。(撮影日:9月17日)


【イシガケチョウ】
水辺では、イシガケチョウがヒヨドリバナに舞い降りて吸蜜しています。チョウ目タテハチョウ科に分類されるチョウの一種で、ひらひらと紙切れが舞うように飛びます。成虫は越冬を終えた春から発生を繰り返し、秋遅くまで見られます。温暖化により北上しているチョウのひとつで、国内では年々分布域を広げているそうです。(撮影日:9月30日)


【アサヒナカワトンボ】
湿地には、アサヒナカワトンボが静かに翅を休めていました。トンボ目カワトンボ科に分類される日本特産種で、新潟、群馬、埼玉、東京、千葉、茨城各県より南西の本州・四国・九州に分布します。全長は50㎜程度で、寿命は約1年~2年、幼虫で越冬します。千葉県では、最重要保護生物(A)に指定されています。(撮影日:5月22日)


【アゲハチョウの幼虫】
緑輝く林の中で、アゲハチョウの幼虫が蛹(さなぎ)になる準備を始めました。卵から孵化して脱皮を繰り返し、5齢幼虫になると、頭に目玉模様の付けた緑色の姿に変化するそうです。蛹は10日~2週間ほどで羽化し、成虫になります。卵から孵化して成虫になるまで約2ヶ月、成虫の期間は2週間~1ヶ月程度ですから、アゲハチョウの一生は約3ヶ月なんですね。(撮影日5月31日)


【クロマダラソテツシジミ】
夏の暑い日に、クロマダラソテツシジミが食事中です。チョウ目シジミチョウ科に分類されるチョウの一種です。最近では、日本の南西諸島から関東地方で見られるようになってきましたが、南西諸島以外では越冬できず、夏から初冬に侵入して増殖することを繰り返しているみたいです。(撮影日:9月3日)


【オオアオイトトンボ】
湿地で休んでいるのはオオアオイトトンボです。なんてきれいでかわいらしいのでしょう!大きさは41㎜~51㎜で、北海道から九州までひろく分布します。5月~12月ころに見られますが、私の実感としては、この子も含めイトトンボ類はほんとに数を減らしているように感じます。(撮影日:10月30日)


【クモヘリカメムシ】
山深くに入っていくと、クモヘリカメムシがこちらの様子を伺っています。ホソヘリカメムシ科で、スマートな体型が特徴です。カメムシというと「強烈な悪臭」というイメージが強いですが、この子は刺激を受けると「青リンゴやシトラス系の香り」を放つそうです。「甘酸っぱい青春の香り」とも言われているそうですよ。(撮影日:9月3日)


【シオカラトンボ】
翅を休めているのはシオカラトンボです。トンボ科シオカラトンボ属に分類され、体長は47㎜~61㎜になります。寿命は長くても30日くらいとやや短命です。オスのシオカラトンボは夏場によく見掛けましたが、メスもこうしてじっくり見るとかっこいいですね。沖縄県では絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されています。(撮影日:8月8日)


【ハムシ】
湿地では、ハムシが今にも飛び立とうと構えています。甲虫目ハムシ科の昆虫の総称で、ハムシは現在約780種が知られています。全長は6㎜前後のものが多く、成虫も幼虫も植物の葉を食べることから「葉虫(ハムシ)」と名前が付きました。(撮影日:9月19日)


【ゴミグモ】
5月と言えば、この日記を配信し始めたころです。キショウブの花の近くにはゴミグモが静かに待機しています。コガネグモ科ゴミグモ属に分類されるクモで、自分の姿を隠すように、網にゴミをつるすことからその名が付いたそうです。(撮影日:5月22日)


【ベニシジミ】
ベニシジミは、シジミチョウ科ベニシジミ属に分類されるチョウの一種です。暖かな草原の日だまりで食事中ですが、こんなのどかな一日も大切だと思います。(撮影日:6月26日)


【イシアブの仲間】
暗闇の隙間には、イシアブの仲間がじっと待機しています。メタリックなパーツは金属でできているような光を放ちます。(撮影日:7月5日)


【ヤマトエダシャクの幼虫】
小さなシャクトリムシは、こちらに気づくと擬態を使って小枝に変身します。ヤマトエダシャクは、チョウ目シャクガ科エダシャク亜科に分類されるガの一種で、シャクトリムシはその幼虫です。恥ずかしい話ですが、こうして調べる中で、シャクトリムシがガの幼虫だということを初めて知りました。大きくなってもシャクトリムシはシャクトリムシのままだとこの歳まで思っていました。発見です!(撮影日:6月13日)


【ツマグロオオヨコバイ】
きれいなアジサイの花にとまっているのは、カメムシ目オオヨコバイ科に分類されるツマグロオオヨコバイです。鮮やかな黄緑色が特徴的で、バナナムシとしても知られています。越冬は成虫で行うらしく、今でも朽ち木のくぼみなどにいるんでしょうね。(撮影日:6月6日)

終わりに

いかがでしたか。
2024年はアクティブ・レンジャーとして最初の年で、また、私の人生にとっても思い出深い一年となりました。がむしゃらに動植物を追っかけて、いっぱい写真を撮りました。学生のころ写真に夢中になり、一日中カメラ片手にあちこち歩きまわっていた時以来のカメラ小僧でした。この一年で一生分の写真を撮ったようにさえ思えます。
2025年は風邪をひいてのスタートでしたが、残された任期の間、また、カメラ片手に国立公園内を走り回ろうと思っています。本年も引き続きよろしくお願いします。

自然を大切に!


【ヒメアカネ】

 
令和6年度 環境省 レンジャー写真展のご案内

中部地方の「国指定藤前干潟鳥獣保護区」、「白山国立公園」、「伊勢志摩国立公園」の豊かな自然の保護と利用を推進するレンジャーとアクティブ・レンジャーが撮影した活動の様子や自然の風景、生きものの写真、白山・名古屋・伊勢志摩の3地域を巡回して紹介しています。
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