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アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

白山登山のモデルツアー、大学生対象に実施!若者の力を借りた情報発信の第一歩

2026年10月02日
白山国立公園 大石佳織
皆さん、こんにちは。
白山自然保護官事務所の大石です。
白山は気が付けばすっかり涼しくなり、というより寒いくらいになり、秋を感じています。 
そんな秋を感じる9月下旬の白山で、大学生を対象に、1泊2日のモデルツアーを実施しました。
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秋の気配を感じる南竜ヶ馬場周辺

​なぜ大学生対象のモデルツアー?

白山国立公園が位置する石川県白山市は、市全域が「ユネスコ世界ジオパーク【白山手取川ジオパーク】」に認定されており、その山岳エリアは白山国立公園と重なっている自然豊かな地域です。 

私たちは、より多くの方に白山の魅力を知って学びや体験を楽しんでもらい、白山に愛着を持ってほしいと願っています。しかし現状では、普段登山をしない方々へその魅力や楽しみ方が十分に届いていないことが課題となっています。
特に、将来を担う若い世代へのアプローチは大きな壁で、従来の広報・情報発信のやり方だけでは、国立公園やジオパークの魅力を若者層に届けられていません。
 
そこで、今回、若い世代をターゲットとしたモデルツアーを実施し、ツアー体験を通して魅力発信や情報発信媒体の作成に協力してもらおうと、白山手取川ジオパーク推進協議会と環境省が連携・協力して企画しました。

どんな人が参加した?

ツアーに参加してくれたのは、石川県内の大学に通う学生5人です。1人を除いて登山はまったくの初心者ばかり。事前にオンライン説明会を行って、持ち物や服装、どんな行動食がいいかなど、登山の基本から今回のツアーの目的までお伝えした上で、白山登山に備えてもらいました。

 
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参加してくれた大学生。標高約2,300mの黒ボコ岩にて。
​ツアーを案内したスタッフは、白山手取川ジオパーク推進協議会の専門員2名、白山手取川ジオパーク公認観光ガイドで登山を含むツアーも実施しているアウトドアガイド、そして環境省のレンジャーとアクティブ・レンジャーの計5名。手前味噌で恐縮ですが、これほど手厚いツアーはなかなかないと思います。

​どんなツアーになった?

ツアー当日、忘れ物チェックを済ませて、白山市街地の集合場所から登山口までバスで移動し、いよいよ登山開始です。
 
アウトドアガイドさんによって、最初にみんなが気軽に話しやすい雰囲気が作られ、和気あいあいと登山口へ。
よし出発!と思ったところで、リュックの背負い方にアドバイスが入ります。みんな肩紐(ショルダーストラップ)が長め。肩紐を短くするのはおしゃれじゃないかもしれないけれど、重い荷物を長時間背負う登山ではきっちり背負った方が楽だし安全。ということで、肩紐を調節しました。
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駐車場から登山口広場へ移動を開始。ガイドさんのザックの背負い方チェックが入る前なので、みんな肩紐が長く、リュックが肩から垂れ下がっています。
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調節後は、みんなきっちり背負っています。※一番後ろはガイドさん
ガイドさんは
  • 足元が危なっかしい場面では的確な補助
  • 前に追いつこうと必死になりすぎてしまう学生には「焦らなくて大丈夫だよ」と声をかけ、気持ちの面からもサポート
山をよく知るガイドさんと登ると、危険回避のサポートをしてもらえるだけでなく、心身両面の山の歩き方を学べるんですね。


登っている途中、休みたくなったころにジオパーク専門員から
  • 今歩いている登山道の地面が大昔にどんな環境だったか、
  • 白山の山はどうやってできたのか、
  • 目の前に広がるダイナミックな地形がどうやって造られたのか
等々、解説が入ります。
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白山の大地についてジオパークの専門員から解説。
さらに、レンジャー、アクティブ・レンジャーからは
  •  沢の音、植物の匂いなど五感を使って自然を感じること
  •  登山口から山頂へ標高が上がるにつれて変化していく木々や草花の様子
  •  登山道沿いで出会った昆虫や鳥、動物の痕跡の観察
  •  自然を守るための国立公園での自然とのふれあい方(自然公園法のこと)
  •  白山で取り組まれている外来植物対策について
等々を随所でお伝えしました。
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白山の外来植物の解説を受けながら観察
山の歩き方から大地の成り立ちや動植物、果ては法律のことまで、情報量が多い登山になっていましたが、どのアドバイスや解説も真剣に、楽しそうに聞いてくれていました。
 
でも、何より感動していたのは目の前に現れる自然そのものの姿。
切り立った崖、深い谷、どこまでも続く山々、雲(ガス)の中を歩いたこと、下界とは違う空気の冷たさ…
ある学生からは「スマホで検索してもわからないこと」と感想がありました。

​初めての登山。大学生の反応は!?

楽しんでもらえていたとは言え、登山そのものが初めての学生たちにはきつかったのは確かなようで、登り始める前も登っている最中も、
「運動もあんまりしていないから不安・・・」
「あんなところまで絶対登れない」(※注:登り始めて1時間ほどで視界に入った標高1,800mくらいの尾根を見上げたときの一言。ちなみに山頂の標高は2,702m。このとき山頂は見えていません。)
「きつい!」(道中ずっと)
「道なき道だ!」(※注:普通の登山道に対する感想です) 等々、
不安や弱音が次々に飛び出していました。
 
さらに、スタッフの「あともうちょっとで○○」という言葉に対し、「もうちょっと詐欺だ」と文句が(とても楽しそうに)飛び出していました。(※山に慣れた人と初心者との間に「もうちょっと」の基準に差があるため、初心者にとってはちっとも「もうちょっと」ではなく、騙されたと感じることがよくあります。)
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弱音が飛び出す登山道
でも、さすが若者。ゆっくりでしたがバテることもなく、ちゃんと山小屋に到着しました。
夕食後、夕日を見て、暗くなってからは星も見たいと全員が小屋の外へ出て空を見上げるなど、登りの弱音が嘘のような余裕っぷり。
 
中秋の名月の前夜で、薄雲もあって星はあまり見えませんでしたが、街灯のない白山で月の明るさを体感していました。
さらに翌朝は4時起きでご来光登山に臨みましたが、疲れも見せず、というより初日より元気いっぱい。(若いっていいなぁ)
山頂から北アルプスの山々や、雲の間から昇る朝陽も見られました。
さらに下山時に立ち寄った黒ボコ岩で、なんと野生のオコジョに遭遇!
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指し示す先にオコジョが!第一発見者の学生は何の生きものか分からなかったため「ほ乳類!ほ乳類!」と知らせてくれました。
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私たちの周りを駆け回ってくれたオコジョ
下山が近づくと「もう終わっちゃう」、「まだ帰りたくない」「もっとここにいたい」という言葉が漏れ、
登山口に到着した瞬間に聞こえたのは、「疲れた」や「やっと下山できた」ではなく、「ああ、戻ってきちゃった」でした。
登りはきつかったかもしれないけど、今回のツアーをきっかけに、白山の魅力を感じてもらえたのではないかと思います。楽しかった体験を周囲の仲間に伝えていってくださいね!
 
夕陽に夜空にご来光、その上、野生のオコジョに大接近!泊まりがけの白山登山の醍醐味を余すところなく満喫してもらえました。モデルツアーとしてはできすぎなくらいな幸運に恵まれながら、参加者全員、元気に下山できました。

​大学生の発信

下山後、帰りのバスの中で、参加者たちはさっそくみんなで撮影したものから写真を選び、白山手取川ジオパークのインスタグラム(Instagram)へ登山の様子を投稿してくれました!


学生による投稿は、白山手取川ジオパークの公式アカウントからご覧いただけます。

白山手取川ジオパーク インスタグラム公式アカウント↓↓↓
https://www.instagram.com/hakusan_tedorigawa_gp?stkn=enBuNXVicmZ4MHJ5

学生の投稿のページ↓↓↓
https://www.instagram.com/p/DdtEguIkZ_I/?img_index=7&stkn=MTdnenBnZm5ncWl1Yw==
 
 
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白山手取川ジオパークのインスタグラム公式アカウントへは上記のQRへアクセスしてください。
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学生さんの投稿は上記のQRからどうぞ。

大学生の声

山小屋では意見交換の時間を設けたのですが、白山登山について様々な意見をもらったので、いくつかご紹介します。
  • 「せっかく石川県の大学に入ったから卒業までに一度は白山に登ってみたい」という想いを持っている学生は少なくない
  • 行ってみたいと思っても、どうやったら登れるのかがわからない。情報があちこちにあってわからない。
  • 自分たちが登れるのか、自分たちだけで登れるのか、分からない。けれどツアーなどの情報に触れる機会もない。今回のツアーを知ったときは行ってみたいと思った。
  • 基本的に車はないから公共交通機関頼みだけど、ほとんど無いからアクセスでつまずく。
  • 買いそろえないといけないものが多くて、登山を始めるハードルが高いから、簡単に借りられると嬉しい(レンタルショップの情報へのアクセスや金額などもハードル)
  • 白山は初心者向けの情報が整理されていない
等々。
なるほど、白山登山をしてみたいと思っていても準備の段階で不安になる要素が盛りだくさんで、踏み出せない様子。情報だけで解決できるわけではありませんが、情報の発信の仕方を工夫したり、地域関係者と協力することで解消できそうなものもあります。
 
今回のモデルツアーを通じて、若い世代にとって「白山」が決して遠い存在ではなく、正しい情報や少しのサポートがあれば大きな感動と学びを得られる場所なのだと、私たち自身も改めて気づかされました。
参加してくれた学生さんたちが感じてくれた「白山の魅力」と、教えてくれた「等身大の課題」。これらをしっかりと受け止め、白山手取川ジオパーク推進協議会や地域の皆さんと連携しながら、若い世代にとってもっと身近で、自然を大切にしながら楽しめる白山を目指し、情報発信や環境づくりに取り組んでいきます。
白山の素晴らしい自然が、これからも多くの若い世代に愛され、引き継がれていきますように。
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白山の魅力や楽しみ方がより届くように、取り組みを続けていきます。