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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

嫌われがちな仲間たち

2024年07月02日
伊勢志摩国立公園 三好 明
みなさん、こんにちは。
伊勢志摩国立公園管理事務所ARの三好です。
7月に入り梅雨本番の季節となりましたが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。今年の梅雨は例年になく蒸し暑く、不快指数も相当高いと思います。こんな時は自然の中に飛び込んで、いい空気をお腹いっぱい吸ってみるのも良い気分転換になるかもしれませんね。
今回ご紹介する仲間たちは、一般的に害虫扱いされていたり、見た目がグロテスクなために嫌われがちな仲間たちです。また、草花についても外来種を含めていますが、可憐な花々を選んでみました。みなさんにとって一考の機会になればと思います。

嫌われている虫ときれいな花たち


【クロウリハムシ】
ウリ科の野菜にもつく甲虫で、葉を食害して穴だらけにしてしまいます。野菜農家さんにとっては害虫ですが、公園内で過ごしている姿を見ると愛らしいです。


【ムラサキカタバミ】
この季節に咲いている小さな花です。要注意外来生物ですがきれいですね。


【サシガメの仲間】
注射針のような口を獲物の体に突き刺して体液を吸う肉食性の昆虫で、食事の時以外も、危険を感じると身を守るために刺すそうです。


【ヤマボウシ】
山を登っていると、大きなヤマボウシの木を発見しました。見事なまでに満開の花を付けていました。


【ウンカの仲間】
イネ科以外の植物上では生きられないというウンカです。一部のウンカは農家さんにとっては害虫ですが・・・。


【ナンテン】
梅雨のこの季節、横山園地ではナンテンの花がきれいに揺れています。この後に、赤色や白色の実を付けるんですね。


【ヤスデ】
ジメジメした桜の木には、ヤスデが休息しています。朽ちかけの落ち葉などを食べる”掃除屋”で、人に危害を加えることもない益虫だそうです。ただ、見た目や臭いなど嫌がられることから、クモやアリのように”不快害虫”と呼ばれています。かわいそう。


ヤブラン】
ヤブランは、キジカクシ科ヤブラン属に属する多年草です。やぶに生え、葉の形がランに似ていることからこの名が付けられたそうです。小さな蕾が確かにきれいですね。


【カメムシ】
カメムシ類は植食性のものが多く、葉や茎、果実などに口を差し込みその液を吸収するそうです。危険を感じると身を守る手段として悪臭を放つため相当嫌われていますが、見ている分にはかわいい仲間です。


【タイサンボク】
この季節にはタイサンボクも大きな花を付けてくれます。一輪だけ健気に咲く姿を見ていると、見とれてしまいました。


【アブラムシの仲間】
アブラムシは、ほとんど移動せず集団で樹液を吸って生活します。このアブラムシは真っ赤な体が鮮やかです。


【ムラサキシキブ】
草花に混じるように、小さなムラサキシキブの花が咲いています。季節を感じているんですね。


【ジガバチ】
土に穴を掘って巣を作る蜂です。近寄るとブンブン羽音を鳴らしていますが、刺激してしまうと刺す可能性があるそうです。


【アジサイ】
梅雨とはいえ、7月に入るとアジサイも最後の時期を迎えています。今年も一生懸命咲いてくれました。

【クサカゲロウの幼虫】
最後に個性的な益虫を紹介します。クサカゲロウの幼虫は肉食性で、アブラムシやハダニなどの小動物を捕食します。この子はカイガラムシのようなものを背負っていますが、この行動は、アリなどの天敵から身を守るためのカムフラージュとのことです。意外に歩くのが速いので驚きました。

終わりに

いかがでしたか。みなさん、国立公園というと原生的な自然を思い浮かべるかもしれませんが、今回紹介したような外来種や不快害虫、植物たちも人と共存して伊勢志摩国立公園内で静かに暮らしています。これは、この国立公園が人の暮らしと密接にあることの現れではないかと思っています。私たちにできることはなにか、が問われています。


【ヤマダラコガネ】