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中部環境局

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

シロチドリはかくれんぼがお上手

2026年07月29日
伊勢志摩国立公園 平賀 綾香
 みなさんこんにちは。 伊勢志摩国立公園管理事務所アクティブレンジャーの平賀です。 最近、海辺の野生生物の保護に携わる機会がありました。その取り組みのご紹介をしたいと思います。

 伊勢志摩国立公園内の海辺に行くと、砂浜の波打ち際を軽快に走る鳥が見られることが多々あります。シロチドリです。(ちなみに駐車場や開けた場所で走っている鳥を見かける機会があると思いますが、それはハクセキレイという別の鳥です…。)

(黒いつぶらな瞳がキュートです。足を高速回転させて砂浜を駆けています。)

シロチドリは砂浜や干潟などに生息する鳥で、ちょうど今繁殖シーズンを迎えています。三重県は都道府県を代表する「県の鳥」がシロチドリとして選ばれており、県内各所の海岸でも見ることができます。特に伊勢志摩国立公園内に位置する志摩市は、「市の鳥」もシロチドリとなっており、海辺で暮らす人にとっては身近な存在です。以前、地域の浜掃除に参加した際に、シロチドリについて聞いてみると、「あんなん(あんなもの)どこにでもおるスズメといっしょや」とおっしゃっていました(笑)。

 しかし、近年、繁殖地となる砂浜の減少や、レジャー利用による営巣地への人やペットの接近、車両でのかく乱等の影響で減少傾向にあります。さらに三重県レッドデータブック(※)では、野生絶滅の一歩手前である「絶滅危惧IA類」に指定されており、保護保全が急務です。

※参考 レッドデータ検索システム

 さて、突然ですが、この写真の中にシロチドリの卵があります。いったいどこにあるでしょう?


(この中にシロチドリの巣と卵がうつっています。ヒント:写真中央より少し下)


答えはこちら!

(石の中にまぎれていました。)


(同じ巣の拡大写真。うずらの卵のような斑模様の卵です。)
 
 これがシロチドリの巣です。 巣といっても、草やコケで作られるふかふかベッドの小鳥の巣とは大きく異なり、砂地をくぼませた所に小石や貝殻の破片を集めただけの簡素なつくりです。しかしこれは、決してシロチドリが手を抜いていたわけではありません。(むしろこの巣は丁寧なくらいかも。少しへこんでるだけやん!とツッコミを入れたくなるような巣もあります…。)このような見た目のおかげで、巣が背景と完全に同化していてどこにあるのか、ぜんぜんわからないのです!観察に行った際、視野に入っているのに居場所がわからず、一点を凝視し続けることもしばしば…。環境に合わせて巧妙にカモフラージュしています。砂浜という見通しが良い場所でも、外敵から身を守るためにこのように進化していったのかもしれませんね。

  しかし、この見つけにくさ故に困った問題もあります。 人間やペットが知らず知らずのうちに巣に近づくことで、抱卵中の親鳥を警戒させてしまったり、巣を壊してしまったり…。また、接近しすぎるとストレスによって、営巣放棄(抱卵や子育てを途中でやめてしまうこと)してしまう可能性もあります。
  そのため当事務所では、地元の自然団体と協力し、今年は試験的に営巣場所に人が接近できないようコーンで囲いを設置しています。個体によってはコーンを警戒して営巣放棄する可能性も捨てきれないので、慎重にモニタリングしています。

  みなさんも砂浜に行った際には、ぜひシロチドリを探してみてくださいね。


(抱卵中のカメラ目線シロチドリ。)

<平賀>