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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

上高地の野生動物調査

2024年04月05日
上高地 松下裕之
みなさま、こんにちは。
上高地アクティブ・レンジャーの松下です。

去る4月2日、環境省の野生動物担当者(生態系保全等専門員)とともに、大正池から明神までの区間で野生動物調査を行いました。上高地には、ニホンザル、ツキノワグマ、ニホンカモシカ、アナグマ、キツネ、タヌキ、ヤマネ等々たくさんの野生動物が生活しています。一方で、最近はニホンジカの侵入が確認され、ニリンソウなど上高地を飾る花々への影響が懸念されています(令和4年度から試験捕獲事業を実施中)。また、元々生息しているハシブトカラスも、最近は明神を中心に頻繁に確認されており、利用者とのトラブル発生やカラスの餌付きが問題になっています。
残念ながら、今回はカラス以外の動物は確認できませんでしたが、樹皮を剥いだ食痕を多数見つけることができました。おそらくこれらはニホンザルが食べた痕だと思われます。
上高地のニホンザルは、世界の猿類の中で最も寒い場所(約-20℃)に生息している貴重なサルです。人間に依存することなく自然の物を食し、野生のままに暮らしており、食べ物が少ない冬の上高地では樹皮やササ類も彼らの大切な食料となっています。しかし、近年はニホンザルの人慣れが進んでいるため、上高地ではニホンザルと人間の距離を適正に保ち、ニホンザル本来の姿を守るために、地域一丸となって追い払い活動を実施しています。追い払いにはエアガン等を使用していますが、決していじめているわけではありません。ご理解のほどよろしくお願いいたします。

話は戻り、この時期、上高地の各施設では開山の準備が始まっています。各所で写真のような施設点検や準備作業が行われています。

最後に、開山(4/17)前に上高地を訪れる方へご案内いたします。
開山前の上高地は交通アクセスだけでなく、地域内全ての施設が閉鎖されています。
冬山と同じ気候状況ですので、事前に天候情報を確認の上、必ず冬山装備でお越しいただき、安易な入山はお控えください。
また、その際には以下のURLにあります『上高地冬期入山ルール』を必ず守ってください。

◆信越自然環境事務所「上高地の冬期入山ルールについて」
https://chubu.env.go.jp/shinetsu/pre_2023/press_00095.html

◆上高地公式ウェブサイト「上高地へ入山される方へ」
https://www.kamikochi.or.jp/news/6480/

それでは、今年も上高地でみなさまとお会いできるのを楽しみにしております!

【明神岳と明神橋】


【明神橋のハシブトカラス】


【樹皮の食痕_焼岳登山口付近】


【樹皮の食痕_明神】


【食痕の確認】


【開山準備_河童橋公衆トイレ】


【梓川と岳沢】