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アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

週刊アクティブ・レンジャーVOL93を転載するもの

週刊アクティブ・レンジャーVOL93 笠新道

2023年08月16日
平湯 福澤春彦
暑い日が続きますね!平湯からアクティブ・レンジャー福澤です。
松下さん巡視ご苦労様でした。私も7月17日から19日まで巡視に行っていましたのでいくつか報告したい
と思います。巡視ルートは、新穂高から左俣林道を起点として笠ヶ岳と双六岳と周回しましたので、今回
は笠新道についてです。笠ヶ岳は岐阜県を代表する北アルプスの名峰で、登山ルートは播隆上人の時代か
らいくつか変遷を重ねており、現在は、笠新道を登る登山者が多くいらっしゃいます。笠新道を登りで利
用しましたが、噂に違わない急登で周囲の登山者からは「体力が要るとてもハードな道。でも杓子平に着
いたときの景色に疲れも飛んでしまう!」と言う声が多く聴かれました。

<杓子平から見る笠ヶ岳>

実はこのルート、降り(下り)に細心の注意をして頂きたいルートでもあります。下りのペース
配分を体力に合わせてゆっくり歩かないと膝や足全体に大きな負担が生じて思わぬ転倒を起こしかねませ
ん。笠ヶ岳山荘でも昨年は笠新道での事故が多く発生したと聴きます。岐阜県高山警察の山岳警備隊では
今期より標高1800m地点にレスキューボックスを設置しました。


<今期から設置されたレスキューボックス>

https://www.pref.gifu.lg.jp/site/takayama-sho/308592.html
事故が多発する地点であることや携帯電話が通じる地点であることが設置の主な理由です。設置されたレ
スキューボックスには、救助を待つ間に必要な装備だっり、同行者による自力下山を助ける装備だったり
、また救助隊を待つ間の一晩くらいはビバークできるような装備もあります。昨今多くの山岳遭難が報じ
られていますが、特徴として”行動不能”と言うワードをよく耳にします。本来であれば登山者が”万が一”
を想定したレスキュー装備を携行するべき事も忘れてはいけません。笠新道におけるこの試みは緊急性の
低い事故では自力下山を助け、また救助隊の夜間救助を減らし余裕を持った救助活動を可能とする新しい
取組だと感じました。ちなみにボックスを開けるにはボックスに表記された連絡先に通報し鍵の解除を教
えてもらう仕組みです。笠新道を通る登山者の一人一人がこのボックスを見るたびに自己の登山装備に自
戒の念を抱き、決してボックスを開けさせることのない良い意味での”単なる置物”であって欲しいもので
すね!


<笠ヶ岳に続く稜線>


<さあ!笠ヶ岳山頂へ!>

さて、各地多くの登山者で賑わっている時期ですが、8月11日は「山の日」です!
次回は上高地の小森さんから当日イベントの様子など伝えてもらいましょう、小森さん宜しくです!