アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]
雲ノ平登山道整備ボランティアプログラム2022
2022年09月28日
アクティブ・レンジャー中部地区
こんにちは。立山管理官事務所アクティブ・レンジャーの一ノ枝です。
今回は中部山岳国立公園の中でも奥地に位置する雲ノ平へ行ってきました。
9/5~9/9に開催された「雲ノ平登山道整備ボランティアプログラム2022」に参加するためです。このプログラムは、一般社団法人雲ノ平トレイルクラブが主催しており、昨年度から登山道整備、植生復元活動等をボランティアが中心となって行う企画です。
初日は、雲ノ平の自然環境、これまでの取り組みについて知るため、過去に実施された植生復元や整備箇所の観察会を行いました。雲ノ平の地質は溶岩の上に土壌の薄い層が乗っている状態で、人が歩くことでその薄い層が削られ、さらに風雪雨などの自然環境により、浸食されるというメカニズムです。高山帯の植物が一度浸食されてなくなってしまうと、復元するのには、平地では考えられないくらいの時間がかかってしまいます。
<雲ノ平山荘 伊藤氏による解説を聴く>
2日目以降からは、今年度予定していた整備箇所である祖母岳にて登山道整備を実施しました。ここは通称「アルプス庭園」と呼ばれています。
<祖母岳(アルプス庭園)>
今回の整備内容は、主に植生復元と木道修繕の2箇所(+石材の運搬)に分かれて行いました。山頂付近は池塘があり、雲ノ平を象徴する景色を堪能することができる場所ですが、近年は土壌浸食により高層湿原が減ってきています。
整備前に60年前の風景を写真で見せてもらい、完成形の共通のイメージを参加者全員で確認しました。
<60年前のアルプス庭園の風景>
その後も、すぐに整備には取りかからずに整備箇所の説明や作業道具の説明などが行われ、これらの作業についての理解を深めました。
<整備で使用する道具たち>
植生復元の班では、ヤシノミネットを使った土留めロール工法を行いました。土留めロール工法は、ネットに大小状況に応じた石を敷詰めて、ネットをロール状に巻き、侵食が著しい箇所に当てて、植生の自然回復を促すというものです。復元には長い年月がかかるので現状で見て極力自然に見える状態にするために泥を上から塗るなど工夫をしています。
<採寸した長さを切る> <必要な高さの石を敷詰める>
<緩まないようしっかり巻く><地形に沿うようにぎゅっと押しつけるイメージ>
<土留めロール工法After>
木道の修繕は、重い傾いた木道を取り外す作業からはじまります。
<かなりの重さ。人数をかけて運ぶ>
傷んだ箇所の木道を取り替え、もしくは裏側にひっくり返すときれいな状態の場合があります。木道が歩きにくく傾いてしまっているということは、土台となる地面が侵食されているので、石や丸太を使って土留めを行いました。
<近くの石を運ぶ。移動するときも植生を踏まないように注意>
利用者が安心して歩けるように傾斜を意識して木道を設置していきます。ボランティアの参加者の中には大工、建築士の方もおり、その他の人もお互いの意見を出し合いながらそれぞれのキャリアを活かし、作業を進めていきました。
<木道After。見違える歩きやすさに>
<晴天の中の贅沢な昼食>
今回のプログラムでは現地での整備以外にも座学・意見交換の時間も設けられていました。国立公園について、登山道整備維持管理の現状や課題について、アメリカのロングトレイルでのボランティア事例紹介など、多彩な内容でした。
<座学での学びの時間>
登山道整備維持管理に関しての課題が浮き彫りになってきた昨今ですが、官民協働となり、国立公園の登山道の今後について考えていけるとても有意義な時間となりました。
今回は中部山岳国立公園の中でも奥地に位置する雲ノ平へ行ってきました。
9/5~9/9に開催された「雲ノ平登山道整備ボランティアプログラム2022」に参加するためです。このプログラムは、一般社団法人雲ノ平トレイルクラブが主催しており、昨年度から登山道整備、植生復元活動等をボランティアが中心となって行う企画です。
初日は、雲ノ平の自然環境、これまでの取り組みについて知るため、過去に実施された植生復元や整備箇所の観察会を行いました。雲ノ平の地質は溶岩の上に土壌の薄い層が乗っている状態で、人が歩くことでその薄い層が削られ、さらに風雪雨などの自然環境により、浸食されるというメカニズムです。高山帯の植物が一度浸食されてなくなってしまうと、復元するのには、平地では考えられないくらいの時間がかかってしまいます。
<雲ノ平山荘 伊藤氏による解説を聴く>
2日目以降からは、今年度予定していた整備箇所である祖母岳にて登山道整備を実施しました。ここは通称「アルプス庭園」と呼ばれています。
<祖母岳(アルプス庭園)>
今回の整備内容は、主に植生復元と木道修繕の2箇所(+石材の運搬)に分かれて行いました。山頂付近は池塘があり、雲ノ平を象徴する景色を堪能することができる場所ですが、近年は土壌浸食により高層湿原が減ってきています。
整備前に60年前の風景を写真で見せてもらい、完成形の共通のイメージを参加者全員で確認しました。
<60年前のアルプス庭園の風景>
その後も、すぐに整備には取りかからずに整備箇所の説明や作業道具の説明などが行われ、これらの作業についての理解を深めました。
<整備で使用する道具たち>
植生復元の班では、ヤシノミネットを使った土留めロール工法を行いました。土留めロール工法は、ネットに大小状況に応じた石を敷詰めて、ネットをロール状に巻き、侵食が著しい箇所に当てて、植生の自然回復を促すというものです。復元には長い年月がかかるので現状で見て極力自然に見える状態にするために泥を上から塗るなど工夫をしています。
<採寸した長さを切る> <必要な高さの石を敷詰める>
<緩まないようしっかり巻く><地形に沿うようにぎゅっと押しつけるイメージ>
<土留めロール工法After>
木道の修繕は、重い傾いた木道を取り外す作業からはじまります。
<かなりの重さ。人数をかけて運ぶ>
傷んだ箇所の木道を取り替え、もしくは裏側にひっくり返すときれいな状態の場合があります。木道が歩きにくく傾いてしまっているということは、土台となる地面が侵食されているので、石や丸太を使って土留めを行いました。
<近くの石を運ぶ。移動するときも植生を踏まないように注意>
利用者が安心して歩けるように傾斜を意識して木道を設置していきます。ボランティアの参加者の中には大工、建築士の方もおり、その他の人もお互いの意見を出し合いながらそれぞれのキャリアを活かし、作業を進めていきました。
<木道After。見違える歩きやすさに>
<晴天の中の贅沢な昼食>
今回のプログラムでは現地での整備以外にも座学・意見交換の時間も設けられていました。国立公園について、登山道整備維持管理の現状や課題について、アメリカのロングトレイルでのボランティア事例紹介など、多彩な内容でした。
<座学での学びの時間>
登山道整備維持管理に関しての課題が浮き彫りになってきた昨今ですが、官民協働となり、国立公園の登山道の今後について考えていけるとても有意義な時間となりました。