アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]
中部地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、上信越高原、妙高戸隠連山、中部山岳、白山、伊勢志摩国立公園があります。
ブナの新緑と残雪の白山が美しい季節です♪
2022年05月13日
白山国立公園
中部地方環境事務所
こんにちは。
白山自然保護官事務所の大石です。
白山国立公園の市ノ瀬(石川県白山市)は、新緑がまぶしい季節になりました。
この時期に白山国立公園でおすすめの場所のひとつに岩屋俣谷園地があります。
岩屋俣谷園地は市ノ瀬に登り口があるハイキングコースで、展望台が2箇所あり、それぞれから白山を望むことができます。
(白山パノラマ展望台からの眺望 5月10日撮影)
遊歩道の中腹にある「白山展望台」までは一周約1時間、遊歩道の終点にある「白山パノラマ展望台」までは一周約3時間となっています。スタート地点の市ノ瀬が標高830mで、白山展望台が985m、白山パノラマ展望台が1,288mなので、登り口から白山パノラマ展望台までの高低差は約450mあります。
白山展望台までは気持ちの良いハイキングですが、その先はガッツリ登るコースで、なかなか急な階段があります。一部周回できるようになっていますが、遠回りのコースは緩やかな場所と急登の組み合わせ、距離が短いコースは急登が続くコースになっています。同じ道を往復するもよし、ぐるっと回るのもよし、お好きなコースを選んでくださいね。なお、白山展望台と登山口の1つ「今宿口」を結ぶルートは急坂で滑りやすい箇所があるため、下りの際は特に注意が必要です。
歩いている時に、上を見上げると、木々の若葉を楽しめます。5月10日は、ブナはすでに葉を広げており、花もたくさん付けていました。一方でミズナラはまだ新芽が開きかけという様子でした。真っ先に新芽を出す早起きのブナや、ゆっくり葉を開くミズナラなど、同じ場所でも木の種類によって新芽を出す時期が微妙に違っています。
(すっかり葉を広げたブナ(右)と葉を出したばかりのミズナラ(左))
冷え込むことが多い春先は、新芽を早く出しすぎると寒さにやられてしまうことがあります。でも、誰よりも早く芽を出せば、その分たくさんの陽の光を浴びることができます。ブナ、ミズナラ、他の木々・・・それぞれ生き残るために最適な新芽を出す時期になっているようです。木もそれぞれ個性があるなぁとのんびり見上げてみるのもいいものです。
雪の状況ですが、5月10日時点では、ブナ平より上の区間で、傾斜の緩やかな登山道上に、距離数メートルにわたって雪が残っている場所が2~3箇所だけありました。この区間には、雪に押されて地面に倒れている木があり、雪が解けると跳ね上がってくるので、通過の際はご注意ください!
(残雪の様子 5月10日撮影)
お花の様子ですが、ブナ平(標高約1,200m)から白山パノラマ展望台(標高約1,290m)までの区間ではイワウチワが咲いていました。うちわの形をした葉っぱとピンク色の花がかわいい植物です。5月10日の巡視では、つぼみを付けた株も確認しましたよ! 他にもサンカヨウ、スミレサイシン、オオカメノキなど様々な花を楽しめますので、春の山を楽しみにいらしてくださいね。
(イワウチワ 5月10日撮影)
お花や登山道の状況など、最新の情報は市ノ瀬ビジターセンターでご確認ください。
★ツキノワグマも冬眠から目覚めて活動を開始しています。クマ鈴を持つ、複数人で歩くなど対策をして、お楽しみください。
(岩屋俣谷園地マップ)