アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]
中部地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。令和4年度「子どもパークレンジャー 自然観察&自然と地形地質のつながりを知ろうin平湯温泉」
2022年05月31日こんにちは、中部山岳国立公園管理事務所の福澤です。
好天の5月24日(火)、今年も元気いっぱいの地元中学一年生25名が環境省事業のひとつ「子どもパークレンジャー(JPR:Junior Park Ranger)」に参加してくれました!
この事業は、子どもたちが自然の中で楽しみながら自然の大切さを学ぶことができるプログラムで、全国の国立公園で行われています。
https://www.env.go.jp/kids/gokan/jpr/about/index.html
今回のプログラムは、中部山岳国立公園内の平湯に整備されている平湯自然探勝路を巡り森の木々や植物を知ること、それに加えて平湯を取り巻く環境と地形地質から大自然の成り立ちを目の当たりにしてもらうこと。
それぞれのテーマについて自然ガイドさんとジオガイドさんから教えてもらい、地元の素晴らしい自然を身近な人に伝えていくことがJPRとしてのミッションです。
<平湯管理官より国立公園の説明>
朝の飛騨・北アルプス文化センターに集合した子どもたちを前に、環境省中部山岳国立公園平湯管理官から国立公園とレンジャー(自然保護官)の仕事の説明があり、「子どもパークレンジャー」の印しJPRキャップを一人一人に渡して任命が行われました。
<平湯バスターミナルから見える山々>
平湯バスターミナルからは、笠ヶ岳やアカンダナ山などが綺麗に見えており、平湯周辺の地形地質を知る上でとても貴重な景色であることを知ってもらい、スタートです。
平湯の標高は約1,300mで、日本海気候の影響も受け雪深い地域です。そのため森の中では、根曲がりした大木、木に生える苔の高さが一定の現象などが見て取れます。JPRの皆は興味津々でガイドさんの説明に聴き入ってました。また大木が急に細くなっているのを見て、雪の上から昔の人々が燃料として伐採した結果であり、当時の生活様式が森に見えていることを知ると皆が驚いていました。
<ガイドさんの説明は面白いし勉強になることばかり!>
<色んな形状の木々には理由があります>
また森の中を流れる川に沿って歩いていると突然70段の階段が現れガイドさんから地形名の質問です。「河岸段丘!」と大きな声で答えていました。
<突然の階段で河岸段丘を学びます>
森を抜けると平湯キャンプ場です。飛騨側北アルプスのシンボル笠ヶ岳が臨まれ、目視できる縞模様は火山噴出物の堆積跡であることや、平湯から近いアカンダナ山が活火山であり横の白谷山、焼岳と合わせて焼岳火山群であること等を学びました。
<森の向こうには笠ヶ岳>
<笠ヶ岳の縞模様について教えてもらう>
平湯キャンプ場はニリンソウの群生地です。毎年雪解けの後に沢山の白い花を付け、一面が緑と白の絨毯に見えるほどです。
<ニリンソウが見ごろでした>
平湯大滝までは川に見える岩、落ちている石、人工的に加工された石など乗鞍岳火山によってできた地形と地質を学びました。
多くの石や岩は、乗鞍の噴火でできたもので、噴火した時代、噴火の大きさ、溶岩の固まる条件などで様々な石が在ることを知りました。
<石の特徴を見ると成り立ちがわかる!>
<橋の上から河の岩石をのぞき込む>
<いろんな時代の岩石がある事を教えてもらう>
四ッ岳が噴火してできた溶岩台地の末端に平湯大滝ができました。溶岩末端は平湯スキー場手前あたりに在ることから平湯大滝は現在の位置まで約4万年をかけて数百メートルも浸食移動したことを教えてもらい時間の観念があまりにも壮大で驚いていました。今日は天気も良く、雪解けで水量も多く、迫力の大滝を見ることができました。
<平湯大滝の前で集合写真>
今日一日、見て、学んで、感じて、普段何気なく目にしている景色が貴重な自然だと気付いたはずです。「自然を守りたい」と強く思った人、「自然ってすごい」と驚いた人、家に帰ったら家族にお話してあげてください、是非JPRキャップを被って。
皆さん本当にお疲れさまでした。
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