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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

藤前干潟のいろいろな調査について

2021年12月03日
国指定藤前干潟鳥獣保護区

皆さま、藤前干潟からこんにちは。

アクティブ・レンジャーの西部です。

いい天気だなぁ~と思って、何も考えずに護岸の柵に近づいたら、ピィピィーと甲高い声が。

ちょうど私が寄ったすぐ下の護岸に、ヒドリガモが5羽ほど休んでいたのでした。驚かせてしまってごめんね、、、

ヒドリガモのオスは、赤茶色の頭にすっとクリーム色の差し色が入った特徴的な頭頂部を持つ、とてもキレイなカモです。最初の頃、カモといえば、グゥワーッと鳴くと思っていたので、はじめて鳴き声を聞いた時は驚きました。

ヒドリガモ(オス)

<ヒドリガモ(オス)>

藤前干潟はシギ・チドリ類の飛来地として有名ですが、カモ類もたくさん立ち寄ります。カモは体も大きくて体色がキレイな鳥が多いので、観察初心者には楽しいですね。

今週末(12/5)には、カモの初心者向けオンライン講座が実施されます。

締切りは過ぎてしまいましたが、今回は、藤前活動センター、稲永ビジターセンター、名古屋市野鳥観察館の3館でパブリックビューイングも実施予定。

もし興味のある方がいらっしゃいましたら、ぜひ藤前干潟へお越しください。講座を視聴して、すぐに藤前干潟でカモ観察が出来るかもしれませんよ。

https://www.city.nagoya.jp/kankyo/page/0000140354.html

さて、今日は11月に藤前干潟で実施された2つの調査をご紹介したいと思います。同日同時間帯に実施することになったので、保護官事務所のメンバーはバタバタしましたが、調査の立会いなどがあると、干潟に入ることが出来るので楽しいです。

藤前干潟に来られた方は、もしかすると、こうした調査で干潟に入っているところを見ることがあるかもしれません。

●鳥インフルエンザの保有状況調査(糞便調査)

鳥インフルエンザ糞便調査

水鳥の糞便を採取し鳥インフルエンザのウィルス保有状況を調べる調査です。シーズン中に野鳥の大量死などを出来るだけ防げるよう早期発見を目指すこの調査は、環境省から各都道府県に依頼して実施しています。愛知県の場合は、ここ藤前干潟を調査地としていることから、愛知県さんの調査に名古屋自然保護官事務所のメンバーも協力して調査を行っています。

藤前干潟関係者の方々に、カモがどの辺りで休んでいるかを確認してもらいながら、調査地を決定するのですが、、、

カモがいるからといって、そこに糞が落ちているか、と言うとそうでもありません。干潟の場合、潮の満ち引きの関係で調査時間帯が限られるため、少人数では目標数の採取がとても大変なのですが、名古屋市の担当の方々にも応援をお願いすることが出来たため、なんとか、今年の調査も完了することが出来ました!

あとは、調査の結果を待つだけです。

※国内では、既に、家きん・野生のどちらの鳥類でも鳥インフルエンザが発生しています。むやみにカモに近づいたり、餌を与えたりしないよう、水辺でカモの観察をされる際にはご注意ください。

・高病原性鳥インフルエンザに関する情報

http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/bird_flu/

●底生生物調査

藤前干潟 底生生物調査

糞便調査を実施した同じ日には、干潟の底生生物調査も行われました。専門知識を持った業者さんにお願いしての調査でしたが、職員も一緒に現場を確認します。

今回は、藤前干潟でも一番鳥類が集まる場所を調査地に選定し、底質がどのようになっているか、底生生物(餌資源)がどのようになっているかを調査します。

調査地は、野鳥保護の観点からも普段はほとんど人が入らない場所でもあり、職員もあまり入ったことがありません。

入ってみると、少しねっとりとした長靴にまとわりつくような土質で、足をとられます。

そして、無数の小さな穴が!!

2021年11月16日 干潟上の無数の穴

参考に私の足(23cm)も入れてみました。円錐に盛り上がっている大きめの穴は甲殻類の穴ではないか、とのこと。

数え切れないほどの小さな穴は、きっと、たくさんのゴカイ類など小さな生きものたちの巣穴でしょう。藤前干潟の中でも鳥たちが集まる場所、と言うのもうなずけます。

少し水際のほうへ行くと、干潟表面が褐色から緑色と言うかオリーブ色に変わっています。これは珪藻類が表面をおおっていることの証。藤前干潟の他の場所でも珪藻は見られますが、ここは色も濃いと言うのか、たくさんいそうな感じ(個人の見解です!)です。調査結果で明らかになるとは思いますが、とても楽しみですね。

底泥表面 珪藻などが覆っている

その表面には、小さなひっかき跡のような跡。

写真では、カモの足跡がはっきりと残っていますが、実はよく見ると小さな穴のようなひっかき跡がツンツンとついています。

珪藻類なども小型のシギ類が好んで食べていると言われていますから、ハマシギなどが干潟表面をつついた跡なのでしょうか。

(おまけ)

残念ながら、庄内川には特定外来生物ヌートリアも棲んでいます。

2021年11月16日 干潟上にヌートリア

調査の最中、ヨシ原からのそのそと出てきたヌートリア。干潟でどうやら食事をして、またのんびりとヨシ原の中へ帰って行きました。

ヌートリアは、愛知県の山間部を除くほぼ全域で目撃例があるそうです。

農業被害などが報告されています。

藤前干潟周辺でもいると言う話は聞いていましたが、本当にいるんだな、と実感するとともに、ヌートリアが悪いわけではありませんが、人の動きがグローバル化する中で、外来生物と呼ばれる生きものたちの問題も深刻になっていると思い知らされました。

特定外来生物については、下記のホームページなどを参考にしてください。

http://www.env.go.jp/nature/intro/index.html