アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]
五色ヶ原巡視
2021年08月03日こんにちは。中部山岳国立公園立山管理官事務所の平松です。
7月20日、21日に、五色ヶ原の巡視に行ってきました。今回はこの巡視についてお話しします。
五色ヶ原は立山から薬師岳に続く立山連峰の途中にある台地状の草原で、池塘やその周りに多くの高山植物が生育しています。この周辺には環境省が整備している登山道があり、その現状を把握することも巡視目的の一つでした。
<富山大立山観測所付近から、中央のなだらかな場所が五色ヶ原>
五色ヶ原までは、室堂から約5時間の道のりです。五色ヶ原までの道は十分通行できますが、一部の木道が滑りやすくなっているので、そのような場所は気をつけて歩くことが必要です。道中ではたくさんの高山植物が見られました。
<ミヤマリンドウ> <シナノキンバイ>
<タカネツメクサ> <ハクサンイチゲ>
<チングルマ> <ハクサンシャクナゲ>
<トウヤクリンドウ> <ミヤマダイコンソウ>
鬼岳や獅子岳、ザラ峠を越えて五色ヶ原に向かいます。鬼岳の東面は遅くまで雪が残る場所ですが、五色ヶ原山荘のご主人が週に2日程度、残雪を切って道をつけておられるとのことでした。
<雪の残る鬼岳東面> <獅子岳山頂>
<獅子岳から望む雄山> <ザラ峠>
五色ヶ原山荘は、まるで大草原の小さな家を思わせるような立地にあります。山荘から10分ほど下った場所にはキャンプ場もありますが、まだ雪が残っている場所もありました。五色ヶ原周辺の木道の状況は比較的良好でした。
<五色ヶ原山荘>
<五色ヶ原キャンプ場> <五色ヶ原の木道>
五色ヶ原には湿地を好むハクサンコザクラやハクサンオオバコなどの植物が生育しています。
<ハクサンコザクラ> <ハクサンオオバコ>
<コバイケイソウ> <アオノツガザクラ>
五色ヶ原山荘に着き、山荘のご主人にお話を伺ったところ、コロナ禍で山荘の経営はこれまでになく厳しいとのことでした。また、残雪を切って道を作るほかにも、登山道の草刈りをしたり、道迷いしないように石にペンキを塗ったりするなど、山荘の仕事以外にもたくさんのことをやっておられるとのことでした。そのおかげで、私たちが安全に、楽しく登山できるのだということを忘れてはならないと思いました。
その一方で、これらの仕事も年齢とともにきつくなってきたこともお話しされていました。山荘の方々の日々の努力に感謝するとともに、これらの負担を今後少しでも軽減できるよう、私たちも含めみんなで考えていかねばならないと強く思いました。
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