アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]
八方尾根の巡視報告
2021年07月07日こんにちは、中部山岳国立公園管理事務所の福澤です。
今回は後立山を担当する管理官のお手伝いで八方尾根を巡視してきました。
梅雨入りしている6月25日は、曇天で時々小雨、八方池に映る名峰聳える景色は残念ながら雲の中でした。今回の目的は八方尾根の登山道である黒菱唐松岳線歩道を巡視することでした。
北アルプス名峰の一つ唐松岳より派生する八方尾根は鎌池湿原上部からが国立公園で、スキー場としても国内有数の規模と景観を誇ると共に、グリーンシーズンにはスキー場リフトを利用したトレッキングに多くの方が訪れる地です。
<八方駅からゴンドラで一気に高度を上げます>
八方山までの南斜面は木道が整備されており、高山植物のお花畑を眺めながら無理なく標高を上げることができます。
まだ夏シーズンには少し早い時期でお客さんも少なく、ゴンドラもリフトもノンストップで乗り継ぐことができ八方池山荘に到着しました。
<黒菱唐松岳線歩道の案内看板>
3本目のグラードクワットリフト乗車中に見える1998年開催された長野オリンピック男子滑降スタート地点の標柱が目に入ってきます。
<整備された木道>
現地を日頃から巡視しているスタッフ2名と合流し、早速巡視開始です。
登山道、休憩ベンチ、トイレなどの確認とパトロール、現場にいらっしゃるスタッフのお話や情報はとてもありがたいです。巡視でいつも思いますが、現地に関わる様々な方達に国立公園は守られている事を実感します。
整備された木道は、大部分が斜面に施工されているため階段状(部分的には階段そのもの)であり、一般的な登山道と比べて容易に登り降りできる反面、木道ならではの気をつけて頂きたい注意点も潜んでいます。
<整備された木道>
例えば、濡れていると滑りやすい(靴もストックも)、斜面に対して左右に傾きがあると体幹を保ち辛く歩きにくい、その二つが同時にあると特に注意が必要です。
素敵なお花や景色が目に映ることと思いますが、一歩一歩、歩くことに集中しましょう!
安定した階段や木道を確認しながら、スタッフが通行止めにしている箇所に来ました。
木道と尾根ルートが合流する地点の少し先で、通行禁止の看板が立っています。
手前の合流地点より尾根ルートへ迂回して下さい。
<谷側に変形した木道>
写真の通り斜面に沿うように谷側に外傾しており、もし雨で滑りやすくなったとしたら慎重な歩行が必要な箇所です。毎年積もる大量の雪が斜面に沿って流下する際に大きな力が働き、地形や登山道を変形させてしまっています。
写真の木道は安全対策として修繕することになりました。
<通行禁止の看板>
八方池はまだ雪解けの途中でした。
歩道は破損も無くしっかりとしておりベンチやテーブルも綺麗で、天気が良ければ、ゆっくり景色を堪能しながらランチタイムを楽しんで頂けそうです。
<木道の休憩ポイント>
<今日の八方池>
お花の季節は始まっており、ユキワリソウやシナノキンバイが綺麗で、これから始まる色鮮やかなグリーンシーズンを待っているようでした!
<八方池のお花畑>
八方池までは、ゴンドラやリフトを乗り継ぎ木道を歩いてアクセスできますが、ここは標高2,000mほどの北アルプスです。
「カメラを忘れても雨具を忘れるな」、高所の天候に順応できる服装や装備を忘れずに
お越し下さい。
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