アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]
干潟のフィールドサイン
2021年06月18日皆さま、藤前干潟からこんにちは。
アクティブ・レンジャーの西部です。
フィールドサインという言葉、聞かれたことはありますか?
簡単に言うと、野外に残された生きもの達の何かしらの痕跡、例えば、足跡や食べかすなどのことです。
今日は、干潟でみられるいくつかの痕跡を紹介してみたいと思います!
これは、春や秋に干潟に訪れる渡り鳥トウネンの足跡!
調査をしていたところ、ラッキーなことに近くでトウネンを観察する機会がありました。飛び去ったあと、トウネンのいた場所に行ってみるとこの足跡。左上に私の長靴の先っぽが写っています。ちなみに、長靴のすぐ下にある白っぽい物は、トウネンの糞なのでは?と思っていますが、どうでしょうか。それにしても、全てが小さいですね!動きも、姿も見ていて飽きないかわいらしい鳥です。秋にまた、藤前干潟で出会えるでしょうか。
こちらは、アカエイが干潟で餌を探したと思われるフィールドサイン。
よーく見ると、アカエイのひし形が見えてくるのですが、いかがですか?ぽこっとした穴は、アカエイが干潟の泥を探った跡ではないか?と思われます。私も知らなかったのですが、こんな風に干潟で餌を探すんですね。アカエイは、尾に毒針を持つため、大変危険な魚でもあります。この日、干潟にはいくつも跡を見ることが出来ました。
こちらは何だと思いますか?
糞です。
少し崩れてしまっていますが、カモの糞です。鳥の糞って、ベッタリとしたイメージがあった私としては、始めてカモ糞を見たときは、ほ乳類の糞のようだな、と思って驚きました。こちらは、冬になると藤前干潟で良く見られます。ただし、水鳥は鳥インフルエンザなどのウィルスを保有していますので、素手で触ったりするのは厳禁ですよ。観察するだけにしておいてくださいね。
さて、フィールドサインとは少し違いますが、干潟には巣穴もたくさん見つかります。
この間、まだ実物を見たことがなかったクレーター型のトビハゼの巣穴を発見!
トビハゼには、標準型・クレーター型・チムニー型という3種の巣穴を作ることが知られており、チムニー型は冬の越冬用と言われています。これまでにもチムニー型や標準型は、これがそうかな?と思うものを見つけていましたが、クレーター型は見たことがなかったので、うれしかったです。
<トビハゼとチムニー型の巣穴> <巣穴に飛び込むトビハゼ>
こちらは2018年に撮影したトビハゼとチムニー型の巣穴。ちょっと分かりにくいですが、右側に巣穴が見えます。春、そろそろ巣穴から出て活発になってきたかな?と確認しに行ったときの一枚です。
それにしても、クレーター型と標準・チムニー型は、ずいぶんと形が違います。クレーター型も夏場の活動期に見られる巣穴ということなのですが、産卵用としては使わないのでしょうか。逃げ場や暑さしのぎとしてのみの役割なのか、、、興味は尽きません。
もしご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひ教えてください!
干潟には、ほかにも、カニの巣穴やゴカイ・貝などが作る小さな巣穴などがたくさん!じっくりと表面を観察するだけでいろいろな生きものの息吹を感じとることができます。
もし、観察会や潮干狩りなどで干潟に入る機会がありましたら、ぜひ、一度、じっくりと干潟の表面を観察してみてくださいね。
●藤前干潟のイベント
<藤前干潟ふれあい事業 夏休みは藤前干潟に行こう!>
藤前干潟で夏休み期間中に実施されるイベントです。
干潟に入るだけではなく、館内で鳥のデコイに色塗りをしたり、音で干潟を感じたり、いろいろなテーマで藤前干潟を楽しむことが出来ます。
ぜひ、皆さま、ご参加ください。