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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

ライチョウについての講演・観察会

2021年06月04日
立山 平松新一

こんにちは。中部山岳国立公園立山管理官事務所の平松です。

 立山では雪解けが進むと同時に、ライチョウは真っ白だった冬羽が夏羽に変わります。そんな時期、富山県立山自然保護センターでライチョウの講演・観察会があるとお聞きしたので参加してきました。

講演されたのは富山雷鳥研究会の松田勉さんです。松田さんは富山県が5年に一度行っているライチョウ調査の中心メンバーとして活動され、立山のライチョウについて長年研究されてきた方です。

 

<立山自然保護センターで講演される松田勉さん>

講演では松田さんらをはじめとする富山雷鳥研究会が調査研究を行ってきた成果を中心に、立山のライチョウの生態についてとても興味深いお話を伺うことができました。例えば、ライチョウはときどき長距離移動することがありますが、それはほとんどがメス個体だそうです。確かに石川県の白山で数年前に目撃されていた個体もメスでした。オスは繁殖時期の間縄張りをつくり、その縄張りから離れることができないのに対して、メスはより良い場所を見つけるために遠くまで移動することと関係しているようです。

縄張りをつくることができなかったあぶれオスに関する話も聞きました。あぶれオスは、縄張りをもったオスの領域に入るとそのオスから追い払われてしまいます。行く場所行く場所で追いやられ、肩身の狭い思いをするあぶれオスですが、時には縄張りを持ったオスの目を盗み、縄張り内にいるメスに交尾を迫ることもあるということでした。ライチョウの世界もなかなかのものですね。

 

<観察会で話をされる松田勉さん>

観察会ではみくりが池付近まで歩き、ライチョウやその痕跡を見つけました。指まで羽毛が生えていることや、餌となる植物のガンコウラン、ライチョウのフンまで観察でき、ひとつひとつ丁寧に解説いただきました。

 

<夏羽に変わってきたオス>

 

<雪上に残っていたライチョウのフン>

 このような講演や観察会に参加することで、ただ歩いているだけでは気づかなかったことにも目が向くようになります。立山だけでなくそれぞれの地域で様々なイベントが行われています。皆さんもぜひ参加してみてはいかがでしょうか。

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