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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

第3回「クスノキ学習」~東大淀小学校出前授業~

2020年12月15日
志摩 小川美代子

 伊勢志摩国立公園管理事務所では、伊勢志摩国立公園の自然について楽しく体験しながら学べる講座「レンジャー出前授業」を行っています。

 12月8日、伊勢市立東大淀小学校で3回目の「クスノキ学習」を行いました。

 <冬のクスノキ>

 今回はクスノキの冬の様子を観察しました。

 まずは、校庭に出て、5分間各自でクスノキを観察しました。「葉や実、枝や幹は秋と変化したかな?周りに落ちているものはないかな?」と問いかけると、すぐに地面に落ちている実を見つけ、その様子を観察したり、幹の分かれ目に生えているノキシノブというシダ植物の様子を観察したり、クスノキから少し離れて、上の方にある葉っぱを観察したりしていました。今回は、校庭にある他の木も紹介して、サクラのように葉がない時期がある木を「落葉樹」、クスノキのように常に緑色の葉がある木を「常緑樹」ということも話をしました。

 クスノキは夏に剪定し栄養剤を入れてもらったおかげで、秋の観察の際に、春の頃に見られた赤っぽい葉や黄色い若葉を見つけることができましたが、今回(冬)は、緑色が濃くなっていました。黄緑色だった実は、ほとんど黒っぽくなり、地面にたくさん落ちていて、柔らかくなったもの、しょぼしょぼしたもの、堅いもの(これは実の中の種)がありました。

  

<クスノキの実>                <落ちている実を調べる児童>


 教室に戻って、観察したことをまとめた後は、クスノキの「芽」を詳しく観察をしました。色、形、長さ、においを調べたり、うろこのようなものを外側からどんどんはずしてみたりしました。観察し始めた頃はそれほどにおいを感じなかったのに、うろこのようなものをはずしていく都度、「クスノキのにおいやー」とか「くさーい!」「薬みたい」と声が出ました。観察の終わりに、これを「芽」といい、「次の年の葉や花になるんだよ」と話をしました。

<クスノキの芽>

 今回が、今年度最後の出前授業だったので、最後に3回行ったクスノキ学習を振り返り、各季節の変化を確認し合いました。そして、児童からクスノキ学習の感想を聞きました。

 今回学習した「芽」のことやクスノキが「常緑樹」であるということがわかってよかったという感想が多かった中、ノキシノブが生えていることや、クスノキのにおいが虫よけに使われていることを知ることができてよかったという児童もいました。

 学習の始まりに「東大淀小レンジャーとして、くすのきさん(観察したクスノキの大木)のことを調べ、そして、調べたことを記録し、記録したことを周りのみんなに伝え、自然を守る仲間を増やしていこう」と伝えていたので、どの学習の後にも、記録カードを新聞にまとめ、廊下に掲示し、学校の他の学年にも見てもらえるようにしました。

 今回が最後の授業でもあったので、「みんなが調べたことをもっといろんな人に伝えようよ!どうしよう?」と児童に問いかけたら「放送は?」という案が出ました。3回行った学習の内容(クスノキの季節の変化)をまとめ、校内放送で紹介されるかもしれません。(そうなったら、うれしいなあ・・・)

 どうなったかは、学校からの連絡を楽しみにして待ちたいと思います。