アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]
近自然工法の歩道整備 ~まずは観察~
2020年11月02日中部山岳国立公園管理事務所の関根です。
前回の日記で近自然工法の歩道整備業務について取り上げましたが、どのような観点で施工したか紹介したいと思います。
近自然工法で重要な事は「観察」と机上講習会で講師の方がおっしゃっていました。
現地講習会の歩道の様子を見てみましょう。
(左:歩道の上部 右:歩道の下部)
既存の階段は、崩れていて歩きづらい。
歩いた跡を見ても利用者は階段を使わずに左側を歩いていそう。
雨水も左側の人が歩いた跡を流れているかも。
雨水と一緒に土が流れて石が露出してきている・・・などが想像できました。
連続降雨量80mmの日にも現地を見てみました。
歩道上部の先に見える東屋一帯の雨水が歩道に流れ込んでいました。
春先は長期間にわたり水が染み出ていた記憶もあります。
流れ込んだ雨水は、歩道の土砂を少しずつ洗堀(せんくつ)しています。
そして歩道の下部で排水されていました。
(左:歩道の上部 右:歩道の下部)
なぜこのようになってしまったのでしょうか。みんなで考えます。
この歩道はハイカーも利用しますが、もっとライトな利用も多い場所です。
既存階段の段差が高くて横に新しい道ができてしまったのかもしれません。
また、歩道から排水される箇所も少なく洗堀が進んでしまったようです。
水の入り込みを防ぐのは難しい地形でしたので、
排水、人の歩く動線を誘導できれば、土壌が安定して洗堀を少なくできるかもしれません。
土壌が落ち着けば、植生が回復してさらに崩れにくくなってくるかもしれません。
私自身、業務の発注準備と講習会で「観察」が大切だと身に染みました。
実際の施工は次回紹介したいと思います。
近自然工法については、信越自然環境事務所HPに「登山道を直す 近自然工法の考え方と技法」を掲載しています。ぜひご覧ください。
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