アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]
剱岳登山道巡視
2020年10月05日こんにちは。中部山岳国立公園立山管理官事務所の一ノ枝です。
剱岳の登山道巡視に行ってきましたのでその時の様子を書いていきます。剱岳は立山連峰の北部に位置する標高2,999mの山です。急峻な岩壁と氷河によって削られた山容は「岩と雪の殿堂」とも称されています。
今回は室堂を出発し、剣山荘から別山尾根ルートのピストンで歩いてきました。(山行日:9月15~17日)
※剱岳別山尾根ルートは一般登山の中でも上級者向けのルートとなっています。山行に行かれる際には十分な計画と準備をお願いします。
1日目は室堂から剣山荘までの道のりで、歩道は終始よく整備された道を進みました。
剱御前小屋まで登りきったところで大きな剱岳の山容が姿を現しました。
その日は剣山荘で宿泊です。
<剣山荘と剱岳>
剣山荘も他の山小屋と同様に、宿泊人数の規模を縮小し、アルコールや寝室・食堂のパーテ-ションの設置などコロナ対策をしっかりとされていました。
<夕暮れ時の一枚>
山小屋の灯りが、登山者に安心感を与えてくれます。やはり山を利用するにあたり山小屋はなくてはならない存在です。
2日の早朝。
<剣山荘前にて>
この日は予報では天気も持ちそうとのことで剱岳を目指して歩きはじめます。
歩きはじめてしばらくして、最初の鎖場1番に到着しました。
剱岳別山尾根ルートでは、鎖場が合計で13カ所に設置されています。(上りで「1~9番」、下り「10~13番」)
<2番の鎖場>
一服剱、前剱と厳しい岩場や上りが続き、前剱まで上ってきました。
ほぼ同スピードで上っていた栃木からの登山者さんと何度かお会いしましたが、ここでもお会いし、写真を撮っていただきました
<撮っていただいた1枚。剱岳を背景に>
鎖場、岩場を順々にクリアし、
上りで最後の難所となる鎖場9番「カニのたてばい」に取りつきます。
高度感のある岩場を登っていきます。鎖を補助にしながら慎重に進みます。
無事カニのたてばいを登り終えて、しばらくして山頂に到着です!
<山頂での1枚。ここでも栃木からの方にせっかくだからと撮っていただきました。>
<早月尾根。小さく見える赤い屋根が早月小屋>
<北方稜線方面。ここから先は一般登山者は進めません。>
<遠くに中腹に雲がかかっていますが富士山も望めました。>
山頂で一休みをしたら、下山です。別山尾根ルートは上りルートと下りルートが途中別々になるので看板・道標に注意しながら下りていきます。
岩場や鎖場は下りの方が恐怖感・高度感を感じやすいので、一歩一歩慎重に下りていきました。行程には余裕を持って無理のない計画をお願いします。
<10番 カニのよこばい。慎重に進みます。>
今日の宿となる剱澤小屋に到着です。
<小屋前の看板と剱岳>
<今夜の夕食。あたたかいご飯に豪華なラインナップ>
3日目の下山途中には雷鳥にも出会うことができました。ヒナもすくすくと成長している姿が見られました。
今回歩いた室堂~剱岳(別山尾根ルート)の登山道は概ねルートや案内看板もしっかりとありました。剱岳周辺の山小屋は今年は10月初旬に閉まってしまいます。(剱岳もいつ雪が降ってもおかしくない時期です。)登山を計画される際にはしっかりとした準備と情報収集をお願いします。
***********************************
中部山岳国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、「新しい生活様式」に沿った慎重な行動をお願いしています。中部山岳国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。