アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]
戸隠山登山道巡視
2020年09月23日先日天気の良い日に戸隠山を巡視してきました。
担当する国立公園内にある登山道をくまなく歩いて登山道の状況や植生等を把握することはアクティブレンジャーの重要な仕事の一つです。
戸隠神社奥社~蟻の塔渡り~戸隠山山頂~一不動避難小屋~戸隠キャンプ場
およそ6時間の行程でした。
妙高戸隠連山国立公園のある北信地域を代表する5つの山々:妙高山・黒姫山・飯縄山・戸隠山・(と国立公園外ですが斑尾山)は「北信五岳(ほくしんごがく)」と呼ばれています。北信五岳の山々のうち戸隠山以外はいずれも噴火によって出来た火山です。一方、戸隠山は400万年前は海の底だった土地が隆起して出来た山です。そのため戸隠山は海底に土砂などがたまって出来た堆積岩から構成されていて、戸隠山周辺からはホタテ貝やサメの化石が見つかっています。
<堆積岩の壁を登る>
また戸隠山は日本神話にも残る「天岩戸伝説」に関係の深い山です。
天岩戸伝説を簡単にかいつまんでご紹介すると・・・
昔々。高天原(たかまがはら)という神々のお住まいになっているところがありました。
そこには天照大神(あまてらすおおみかみ)という世の中を照らす太陽の神さまがいました。そして弟に須佐之男命(すさのおのみこと)というたいそう乱暴な神さまがいました。
あるとき須佐之男命の乱暴・狼藉に腹を立てた天照大神は天岩戸(あまのいわと)に引きこもってしまい世の中は闇に包まれました。
世界が真っ暗闇になってしまって困りはてた神さまたちは、再び天照大神に出てきてもらうために一計を案じ、天岩戸の前でにぎやかに楽しげに歌ったり踊ったりしてしたそうです。
外が余りにもにぎやかなので、天照大神は不思議に思われ、岩戸を少し開いたところをすかさず力自慢の天手力雄命(あめのたぢからおのみこと)が力いっぱい岩戸を開きました。 すると真っ暗だった世界があかるさを取り戻したそうです。そして天手力男神は二度と天照大神が閉じこもってしまわないように岩戸を下界に放り投げ、それが地上に刺さったのが戸隠山と言われています。きっとあれだけの巨大な物体が地上に刺さるときの衝撃は凄まじいものだったことでしょうね。
あれ?戸隠山は隆起で出来たのでは???
深く考えちゃダメです。ロマンですよロマン!
ちなみに戸隠神社の奥社にはこの時の天手力雄命が祀られています。
戸隠山山頂へのルートは鎖場の岩登りが連続します。中でも一番の難所は「蟻の塔渡り」と呼ばれる幅50㎝くらいのナイフリッジ。奥社側から戸隠山の山頂を目指すには避けては通れないルートです。
ところで戸隠は忍者の里としても有名です。戸隠流忍術は伊賀・甲賀とならぶ日本三大忍術の一つと言われています。もともと忍者は修験者(山伏)から派生したとも言われており、戸隠忍者は修行でこの蟻の塔渡りを飛ぶように駆けていたのかも知れませんね。私は慎重を期して四つん這いでソロ~リソロリと行きましたけど。
いやぁさすが修験の山。なかなか怖かったです。でもその分、絶景が連続する素晴らしい山でしたよ!!
皆さまも、戸隠山登山の際には十分お気を付けください。自分には無理だと少しでも思ったら引き返す勇気を!