アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]
ハマボウの観察会
2020年09月02日横山ビジターセンターでは定期的に伊勢志摩国立公園内で自然観察会を行っています。
7月は「ハマボウの観察会」を行いました。一般参加者とスタッフ合わせ新型コロナウイルス感染予防対策をとりながら20名で観察を行いました。
南伊勢町の伊勢路川河口には、大きなハマボウ群落があります。ハマボウの生育地は河口や内湾などの干潟に限られており、三重県の絶滅危惧種とされています。ハイビスカスと同じ仲間であり、初夏には直径6~8cmの黄色の花を咲かせます。朝に咲いて、夜にはしぼんでしまう1日花ですが、毎日たくさんの花をつけます。
はじめにハマボウの花を観察しました。三重自然誌の会の山本和彦さんが講師となり、花や果実、種子などについて解説をして頂きました。
ハマボウは一般的な土地でも育てることはできるそうですが、他の植物に負けてしまい育たないことが多いそうです。ここで群生できたのは、海辺で育つことができる植物は少ないため、他の植物との競争がおこらなかったのではないかということでした。
また、ハマボウのタネは水に浮きます。海水に浮いて遠くまで流れ、分布を広げるそうです。タネを浮くようにし、育つことができる限られた環境を広い範囲で見つけ出そうとするハマボウの知恵を知り、あらためて感心をしました。
ハマボウの観察の後は干潟でカニの観察をしました。この干潟には、シオマネキやハクセンシオマネキなどの絶滅危惧種のカニがいます。そのカニたちを座って静かに観察しました。干潟の生物は用心深く、動くものを感じるとおびえて隠れてしまいます。しばらく静かに観察をしていると、はじめは見えなかったハクセンシオマネキが次から次に現れ、何匹も見えるようになったかと思えば、左右のはさみの大ききが違うオスが大きなはさみの方を揺らして、近くにいるメスに猛アピールしています。もっと小さなチゴガニのオスもはさみをふって「おいで、おいで」をして、近くにいるメスにアピールしているのも見えてきます。
参加者の皆さんも暑さを忘れて、しばらく見入っていました。
カニの観察の後は、家族単位で干潟の生きもの採集をしました。短い時間でしたが、クロベンケイガニ、ウミニナ、ヤドカリ、ヒモイカリナマコ、ハゼの仲間などが捕れました。個別に観察ケースに入れ、観察するとともに、半田管理官からその生態についてレクチャーを受けました。
梅雨の晴れ間の暑い日、また、マスクなどをつけての観察会でしたので、熱中症にならないよう十分注意しながら、参加者全員が無事活動を終えることができました。