アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]
ヒアリの調査
2020年08月17日こんにちは。中部山岳国立公園立山管理官事務所の一ノ枝です。
今回は国立公園外の話しですが、先日、信越自然環境事務所野生生物課が実施するヒアリ調査に同行させてもらいましたので今回はその時の様子を書いていきます。
ヒアリは南米原産、全体が赤茶色の小さなアリで、体長は2~6ミリほど。攻撃性が強く、素早く動き回ります。お尻についた毒針に刺されると、火で焼かれたような痛みに襲われることから「火蟻」と書くそうです。
船や飛行機に積まれたコンテナや貨物に紛れ込んで海外へと進入し、世界各国に分布を拡大しており、日本では「特定外来生物」に指定されています。
(ヒアリの詳細はこちら→環境省特定外来種ヒアリに関する情報)
今回調査が行われたのが富山県伏木の富山港です。国際ターミナルには世界中からの荷物が運ばれてきます。
朝になると、ターミナルの作業がはじまってしまうため、調査は早朝4時30分から行われました。
普段は眠りについている時間ですが、こういった見えない場所で私たちの暮らしを支えている人が今回の調査だけでなく、たくさんいるのだろうなと感じました。
私は知らなかったのですが、アリは雨が強く降ると巣から出てこないそうです。
<調査前の夜中に一時的に雨が降ったもよう>
そのため、調査は天候にも左右されます。梅雨時期まっただ中でしたが、なんとか雨がもってくれそうな日時で実施しました。
アリを誘き寄せるエサとして使うのがこちら!わかりますか?
スナック菓子を使います。アリもスナック菓子が好きなんですね~。すでにアリが付いています。
このスナック菓子を敷地内のエリアに等間隔で置いていきます。
<スナック菓子を置いた様子>
しばらく時間をおいて、アリが集まるのを待ちます。
脱線しますが、港湾内にあるコンテナを移動させる機械のスケールの大きさ!中々間近でみることがないので驚きでした!
話しを戻して、調査を再開です。再度置いた場所を観察すると、、、いました!
<トビイロシワアリ>
こちらのアリは「トビイロシワアリ」と言い、在来種でどこにでもよくいるアリだそうです。(今回多くはこの種類のアリでした。)
置いたエサをくまなく回収していきます。この他にも、キイロトフシアリ、ケブカアメイロアリ、トビイロケアリ、アメイロアリなどの種類を確認できました。
<おそらく、キイロトフシアリ。個体の色がトビイロシワアリと全然違いました。>
今回の富山港調査ではヒアリは確認されませんでした。とりあえずは、ひと安心です。この調査は秋にも行われる予定です。
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