アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]
沢渡の池尻湿原
2020年07月20日みなさん、こんにちは。上高地管理官事務所の小森です。
上高地へ至る重要な乗換拠点の松本市沢渡(さわんど)地区。
沢渡ナショナルパークゲートや市営・民間の駐車場があり、松本方面から上高地を訪れる人は、ここで車を停めてバスかタクシーに乗り換え上高地に向かいます。宿泊施設も複数あり、上高地観光と併せて乗鞍や白骨への観光周遊の拠点にも便利です。
沢渡ナショナルパークゲート
さて、ここ沢渡は上高地管理官事務所の担当地区でもあり、今回は『池尻湿原』を巡視してきました。
松本市公式観光情報のデジタルパンフレット『ウォーキングガイド~松本を歩く』でも、ガイドマップを見ることができます。
池尻湿原は28ページに掲載されています。
国道158号から、林道に入っていきます。道標に従いながら、林道を30分弱ほど歩くと湿原手前の駐車場に着きます。この駐車場までは車での通行も可能ですが、砂利道で道幅は狭くすれ違いができません。運転に不安のある場合は、沢渡地区の駐車場に駐車してから、歩いて行くことをおすすめします。
国道から入ってすぐの看板 湿原手前の駐車場
周辺にはツキノワグマやイノシシ等が棲息しています。歩道脇にはクマよけのベルがありますので、鳴らしながら進みましょう。また、歴史や植物の看板も充実しているので、じっくり読みながら池尻のことを知っていただければと思います。
池尻から安房峠を越え、飛騨を経て越中へ至る道を、この辺りでは『鎌倉街道』と呼びました。中世、幕府が鎌倉に開かれると、あらゆる主要道路は鎌倉へ向けて整備され、物資の交流が盛んになったと言います。その当時の武士達が「いざ鎌倉」と鎌倉へはせ参じた道なのかもしれません。
湿原の入口には東屋があり休憩できます。
湿原の周りは1周10分ほどで周回できます。緑のリフレクションが美しいです。
湿原内では時期になるとミズバショウやミツガシワ、モウセンゴケを見ることができます。
今日は湿原入口でヤマオダマキやウツボグサが咲いていました。写真を撮ったのですが、ピントが合っていませんでした(>_<)
また、湿原から徒歩10分弱で『池尻砦』まで行くことができます。
この砦は武田信玄の縁の地であり、軍記にも登場しています。ここから白骨方面へも歩道がつながっており、昭和20年代に白骨温泉までの車道ができるまでは、湯治客はこちらの道を通って白骨まで向かっていたようです。
喧噪から離れ、手つかずの自然の中で静かな森林歩きを楽しむことができます。
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令和2年7月豪雨による水害と、近辺で多発している地震により、上高地園内の遊歩道は、日々、状況が変わります。通行止め箇所が発生している可能性もありますので、上高地へお越しの際は、自然公園財団上高地支部のHP情報をご確認ください。
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