アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]
白山国立公園 毎年恒例☆桂湖畔でのオオキンケイギク除去活動
2020年07月17日
白山国立公園
皆さん、こんにちは。 白山自然保護官事務所の大石です。 富山県南砺市に位置する桂湖の畔でオオキンケイギクの除去作業が行われました。 今年は新型コロナウィルス感染症の影響で開催できるかやきもきした時期もありましたが、感染予防対策を取って実施することができたので、今日はそのご報告をしたいと思います。 (桂湖。見ていると心が静かになる気がします) オオキンケイギクをはじめとした外来種については、全国各地のアクティブ・レンジャーが報告しているのでご存知の方も多いと思いますが、ちょっと解説しておきましょう。 (オオキンケイギク) オオキンケイギクはオレンジ色の可愛い花を付ける「外来種」です。 外来種とは、 もともとその地域にいなかったのに人間の活動によって他の地域から入ってきた生物のことです。植物だったら外来植物と呼んだりしますし、外来生物という言葉もよく使われていますね。 三つ葉のクローバーでおなじみのシロツメクサや、ヒメジョオンなども外来植物です。 (左:シロツメクサ、右:ヒメジョオン) 外来種は、私たちの身近なところにたくさん分布していますが、日本の生物多様性に影響を与えることが心配されています。日本に昔からいた生き物たちの住みかや食べ物を奪ってしまったり、日本の生き物と雑種を作ってしまったり、日本の自然に影響を与えてしまいます。 そして、このような外来種の中には、特に影響力の大きな生き物が存在します。こうした生き物は特に注意が必要ということで「特定外来生物」に指定されています。 特定外来生物は、 外来生物の中でも特に生態系へ大きな影響を及ぼすものや、私たちに直接危害を加える恐れがあるもの、野菜や果物など農作物に被害を及ぼすものなどが、法律に基づいて指定されます。 現在、アライグマやカミツキガメなど約150種が指定されています。 また、特定外来生物は、飼育や栽培はもちろん、生きたまま運搬することも禁止されていて、違反すると罰則があります! ※ 詳しくは外来生物法をご確認ください。参考:日本の外来種対策 今回、桂湖で除去したオオキンケイギクは特定外来生物です。 オオキンケイギクはきれいな花を付けるため、多くの場所で緑化のために利用されてきましたが、生命力がとても強く、在来植物の生育場所を奪ってしまうことから、特定外来生物に指定されています。 桂湖でも増えてしまったため、地域の方と協力して除去活動を毎年実施しています。 継続した活動の成果か、湖岸付近では少なくなってきたようです。 しかし、草むらをかき分けて湖面に近い場所へ降りていくと、除去をかいくぐってきた強者たちがちらほら。 (草むらの向こう、湖面近くに花を発見!) オオキンケイギクは地上に出ている葉をいくら刈り取っても、根茎が残っていると再び元気な芽を出してしまいます。このため、除去するときは根元からしっかり取り除きます。 (根元からしっかり除去) 花を付けた個体の近くには、必ずと言っていいほど小さな個体も生えているので、それもしっかり除去します。 (ヨモギの陰のオオキンケイギク。赤丸の箇所) 除去を始めたばかりの頃は、全然見つけられなかった小さな個体。今ではこの写真のように他の植物の陰に隠れていても見つけられるようになりました。 そして、こちらはオオキンケイギクに乗っ取られてしまったかのような法面。5月に草刈が行われたので花を付けたものは少なかったのですが、一面オオキンケイギクに覆われてしまっています。 (除去前:黄緑色の細長い葉は全てオオキンケイギク) これを除去すること約2時間。 (除去後!) かなり除去できました。 今年は25名で作業を行い、除去量は31袋、約179kg! しかし、今回の作業でも取り切れなかった株がたくさんあるので、根絶への道はまだまだ先です。 地域の皆さま、これからもご協力よろしくお願いします。 そして、これを読んでくださっている皆さま、あなたの身近にもオオキンケイギクはあるかもしれません。身近な自然を守るためにも、除去にご協力をお願いします。 参考:特定外来生物「オオキンケイギク」の駆除にご協力下さい! |