アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]
ライチョウのために
2020年06月10日中部山岳国立公園管理事務所の関根です。
皆さんライチョウは見たことありますか??
標高の高い山に生息して、中部山岳国立公園でもシンボリックな存在となっています。
見た目も動きもかわいくてたまらないですね~
このライチョウですが、1980年代には国内に約3,000羽が生息していると推定されていましたが、2,000年代初頭には1,700羽程度に減少してしまったことが信州大学の研究で分かっています。
(ライチョウの個体数の変化:信州大学調査)
環境省では、このような希少な野生動植物について「保護増殖事業」を行っています!
アホウドリ、イリオモテヤマネコ、トキなどもこの事業により、個体の繁殖促進、生息地の整備等を実施しています。
ライチョウを絶滅の危機から守るために、減少が著しい南アルプス北岳周辺などでも取り組みが行われ、平成27、28年度に乗鞍岳で採卵し動物園で生息域外保全として飼育技術の確立を行っています。
また、平成30年度にはライチョウが絶滅したと思われていた中央アルプス木曽駒ヶ岳で約50年ぶりにライチョウが発見されました。
発見されたのはメス1羽で、遺伝子から乗鞍岳、もしくは北アルプスから飛来したことが判明しました。
仮に乗鞍岳から飛来したとしても直線距離で約40kmも離れています。びっくりですね~!
雪のある時期に、中間にある山を経由して移動したと考えられています。
令和元年度には、乗鞍岳で採取した有精卵を移植し孵化まで成功しましたが、残念ながらその後悪天候や捕食等によって雛は全滅してしまいました。
先日5月21日に中央アルプスのメス1羽の生存が確認され、
保護増殖事業計画に基づいて、ライチョウ全体の絶滅リスクを低減させるためにも中央アルプスの個体群復活について取り組んで行くこととなりました。
具体的には動物園等の飼育卵を中央アルプスのメスの無精卵と差し替えて野生復帰させることと、乗鞍岳から3家族20羽程度(1家族につきメス親1羽とその雛6羽程度)を中央アルプスに移植する方法です。
乗鞍岳で採卵したり、雛、成鳥を中央アルプスへ移植したりして大丈夫なの?
中央アルプスへ移植した後も天敵への対策はどうなっているの?
と疑問もあるかと思います。
それについては、次回の記事に書いていきたいと思います。
詳しい資料は、信越自然環境事務所HP内に掲載しています。
また、癒しのライチョウフォトアルバムもぜひどうぞ!
(乗鞍高原から眺めた乗鞍岳)
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