アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]
弥陀ヶ原と大日平は兄弟?!その成り立ち
2020年06月09日こんにちは。中部山岳国立公園立山管理官事務所の一ノ枝です。
今日は「弥陀ヶ原・大日平」というエリアについての紹介です。
弥陀ヶ原・大日平は標高1600~2100mに位置する高原です。
<出典:国土地理院電子地図を加工>
先日、鍬崎山(くわさきやま)に登ったときの写真がこちら。
<鍬崎山にて立山連峰方面>
写真中央付近に大きく広がっているのが「弥陀ヶ原」で左側に少し小さくなだらかな斜面が広がっているのが「大日平」です。その上に大日岳があります。この日は奥大日・剱・立山もきれいに望むことができました。
クローズアップし、別の日にアルペンルート上から撮った弥陀ヶ原です。
<弥陀ヶ原>
奥に見える山が大日岳ですが、この日は山頂付近が雲でかくれていました。
<弥陀ヶ原から大日岳方面>
<手前が弥陀ヶ原、称名渓谷を間に挟み奥に大日平>
弥陀ヶ原と大日平の間には称名渓谷がありV字谷を形成しており、日本一の大瀑布である称名滝が流れています。
アルペンルートは弥陀ヶ原を通り、室堂平へと上がっていきます。
一見、弥陀ヶ原と大日平は名前も違い、別物だと捉えられるのですが、実はこの2つは火山の噴火でできた台地だそうです。(約10万年前の第2期の噴火活動により火砕流堆積物が冷えて固まってできた岩石で、溶結凝灰岩という)
その火山性の岩石と植物性由来の泥炭と呼ばれる土壌が合わさり形成されているのが弥陀ヶ原・大日平で、2つを合わせて東西約9km,南北約3kmの広大な湿地帯が広がっています。
ラムサール条約湿地にも選ばれており、日本で最も高い位置にある湿地となっています。(ラムサール条約について詳しく知りたい方はこちらから)
つまり、元々は、弥陀ヶ原と大日平は1つだったものが、その間に称名滝(称名渓谷)が流れ、浸食をしていくうちに2つに分断されていったという背景があります。
例えるなら、弥陀ヶ原と大日平は兄弟のようなものなんですね。(例えが適切か微妙かもしれないですが、ご容赦ください。)
6月現在ではまだ雪で覆われておりますが、雪解けとともに徐々に湿原の姿がみえてくることでしょう。その時にはまた弥陀ヶ原・大日平について取りあげたいと思います。
国立公園にかかる公共交通機関につきましては現在、以下のようになっております。
日々情報が変わりますので、お出かけを予定される際は各HPをご確認ください。
■立山黒部アルペンルート
6月19日まで営業休止期間が再延長となりました。
上記に伴い、アルペンルート沿いの各施設につきましても営業休止期間を延長しております。
【立山駅から】立山黒部アルペンルート
【扇沢から】関西電力黒部ダム
■黒部峡谷鉄道トロッコ電車
6月1日より営業開始しました。
新型コロナウイルス対策のため、便数を削減、お客様同士の間隔を空けるなどしながら運行するそうです。ご理解とご協力をお願いいたします。
上記に伴い、欅平ビジターセンターが開館しました。
6月1日より
開館時間 10:00から15:00
減便により開館時間が通常より短くなっております。
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中部山岳国立公園では、新型コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、引き続き慎重な行動をお願いしています。中部山岳国立公園へお出かけの際には、各自治体や訪問先が発信している情報を事前にご確認いただき、3つの密の回避や手指の消毒など、感染防止対策にご協力ください。みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。
なお、この投稿は「おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」に基づいて実施しています。