アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]
♯STAYHOME 平湯大ネズコと平湯大滝
2020年05月11日こんにちは、中部山岳国立公園管理事務所の福澤です。
多くの皆さんがSTAYHOMEで過ごされた今年のGW。
GW中の各地の様子は、ニュースなどでご覧になった方も多いと思いますが
中部山岳国立公園を取り巻く環境もとても静かでした。
5月2日と3日に担当地区の平湯周辺を巡視してきましたのでいくつかご報告です。
平湯は中部山岳国立公園岐阜県側の入り口で、北アルプスのイメージがあると
思います。平湯バスターミナル周辺からの屏風のように聳える笠ヶ岳とそこに
繋がる稜線の迫力は息をのむほどです。今は緊急事態宣言を受け平湯周辺の施設
や駐車場は休業状態で、ほとんど車を見かけませんでした。
平湯バスターミナルから徒歩20分ほどのところに平湯キャンプ場があり、
そのキャンプ場を起点に、平湯大ネズコと平湯大滝を初めて巡視しましたので
ご紹介したいと思います。
<道標に導かれ急登>
キャンプ場に入ってすぐの道標に導かれ「平湯大ネズコ」を目指します。
ものすごい急登を約15分ほど、すぐにその荘厳な姿を現しました。
樹齢約1000年、高さ23m、幹周760cmにもなる大きなクロベの木です。
林野庁の「森の巨人たち100選」にも選ばれている名木です。
間近で見ると本当に生命力を感じて、ここまで登った人に力を与えてくれている
気がしました。今の世界中に平湯からネズコパワーを送ってほしい!
そして(恥ずかしながら)初めて社会教育者「篠原無然」と言う名を知りました。
大正時代にこの地に入り、この大ネズコを後世に残し、乗鞍岳登山道を整備し、当時
の人々に大きな影響を与えた教育者。
私も平湯をもっと勉強して、この日誌に篠原の名を挙げていきたいです!
さて大ネズコを後にしてキャンプ場の奥へ緩やかに降りていくと、平湯大滝に続く
舗装路に出ます。
駐車場も閉鎖されておりお客さんは居ませんでしたが、地元の方が歩道の補修を
熱心に作業していらっしゃいました。
側溝の泥や土砂の撤去、また流れてしまった歩道の周りを補修されているところでした。
少しお話を伺うと、やはりGW中の観光客はほとんど無かったようです。
歩道補修のお話を聞きながらご一緒に大滝へ。
轟音とともに、落差のあるもの凄い滝が間近に迫ります。
落差64m、幅約6m。「日本の滝百選」、「岐阜県の名水50選」に選ばれている名瀑です。
<飛騨の名瀑 平湯大滝>
近くにある今は使われなくなった乗鞍岳への登山道(旧道)のお話など貴重なお話も
お聞きでき、滝を見ながら古道への想いを馳せました。
今回の巡視では、政府や都道府県の要請通り皆さんが自宅で過ごされたようで
ほとんど観光客や乗用車に出会いませんでした。
概ね整備が必要な箇所のチェックや今後の検討案件など勉強させて頂きました。
巡視を終えて感じたことは、大ネズコも大滝も、大自然すべてですが、人が居ても
居なくても観ても観なくても関係なく、絶対的な存在感をもってそこにあるんだなぁ
と言うことです。
人間に「もっとデンと構えて、自信もって!」と言っているようでしたよ。
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中部山岳国立公園では、コロナウイルス感染拡大防止の政府方針を受け、当面の利用の自粛をお願いしています。早期収束に向け、みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。
なお、この投稿は「#STAYHOME おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」に基づいて実施しています。