中部地方のアイコン

中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

パークボランティアさんのガイド活動

2020年05月25日
伊勢志摩国立公園 小川美代子

 今回は、パークボランティアさんのカイド活動について紹介しましょう。

 代表的なガイド活動としては、横山展望台でのガイドです。

 新型コロナウイルス感染症拡大予防のため当面の間は中止が続いていますが、毎月第2日曜、午前10時から11時の間、毎回4人ほどのパークボランティアさんが横山天空カフェテラスを中心にガイド活動を実施しています。伊勢志摩国立公園について、そして、中でも横山についてガイドをします。

 例えば、「伊勢志摩国立公園は1946年11月20日に戦後初の国立公園として指定され、2021年では指定75周年を迎えます。」「ここ横山天空カフェテラスからは、リアス海岸の英虞湾が一望できます。半島の先端に見えるところが御座岬なんですよ。」と伊勢志摩国立公園やテラスからの景観についての解説をしたり、「横山の森林は、昔から生活のための薪などに使うため伐採されたり、何度も山火事にあったりしたことから、大きな樹木はあまり見られません。」といった横山の植生に関わる話をしたりします。他にも真珠養殖や美味しい海産物など、人々の暮らしに関わった話もします。

 

<ガイドの様子>

 

 では、私も、人々の暮らしに関わるお話、横山に昔から伝わる「なごらの石」をガイドになったつもりで紹介してみましょう。

 横山天空カフェテラスから尾根沿いの遊歩道を上ると、そよ風テラスの手前右側に3つの石がまつられています。その3つの石には次のような言い伝えがあります。

 むかし、むかし、鵜方浦(うがたうら)の入り口の長原(なごら)の海に、3つの石が沈んでいて、そこを通る舟の艪(ろ)がその石に当たるとたたりがあると恐れられていたそうな。

 あるとき、鵜方に住んどる魚売りの小次郎が浜島に向かっとるとき、満潮にもかかわらず石が半分浮いとるのを見た。小次郎はな、家に帰ると、そのことを海女をやっとる女房のさわに伝えたそうな。そしたら、その夜、さわの夢枕に3つの石が立って、こう申した。

「自分はなごらの龍神石じゃ。早う陸にあげて、まつってほしい。」

 さっそく小次郎夫婦は、石を引き上げてな、家の裏庭にまつったんだと。

 ところが、再び、石が夢枕に立ち、こう申したそうな。

「われわれ3つの石は、もともとは横山の神の使いじゃ。横山にまつってくれ。」

 そこで、横山の中腹で鵜方浦がよく見える場所にまつったんだと。

 それ以来、鵜方浦はたたり石もなくなり、八大竜王が舟の安全を守ってくれて、大きな船も自由に通ることができるようになったとさ・・・・

(民話調に話をしてみました。)

<なごらの石(中央の三つ)>

 

 この伊勢志摩国立公園は、他の国立公園に比べると、公園内に住んでいる人口が非常に多いため、地域の人々の生活や歴史、文化、風習などに深く触れることができるというのが特徴の一つでもあります。

このため、ガイド活動の中でも「なごらの石」の話をしたりするのです。

 私も、横山をはじめ、この伊勢志摩国立公園をガイドできるよう、ただ今勉強中です!