アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]
#STAYHOME 春の情報と擬態?
2020年05月22日先日、戸隠自然保護官事務所が管轄する地域の主だったところを巡視してきました。
戸隠神社、戸隠森林植物園、戸隠スキー場、戸隠キャンプ場、鏡池、種池・古池、黒姫高原、野尻湖、象の小径、飯綱リゾートスキー場、むれ水芭蕉園、大谷地湿原...山を除いても戸隠事務所管内だけで見回る必要のある場所がこんなにあります。
小谷村も戸隠事務所管内なのですが、片道2時間近くかかるのでまた今度。
今回、改めて妙高戸隠連山国立公園って美しい自然がたくさんある場所だなぁと思いましたよ。
<荘厳な戸隠神社中社>
<鏡池>
<戸隠神社奥社への山道途中にある随神門>
<杉の巨木の参道>
<奥社への山道途中にカタクリが>
<静かな種池>
<野尻湖越しの黒姫山>
<野尻湖周遊道路にある展望台からは黒姫山に沈む夕日が見られます>
さて今年の雪解け後では初めて野尻湖畔の「象の小径」も歩いてきました。
今は日に日に緑が濃くなっていく季節ですね。
<象の小径>
<森は新緑から濃い緑へ変わりつつあります>
<途中には古代人の遺跡が!...実は昔の別荘の基礎部分と暖炉だけが残っている状態>
こんな植物も見られましたよ。これなんだかわかりますか?
<ヨモギに似ているような???>
花が咲くとこんな感じです。
<トリカブト> ※この写真は昨年飯縄山にて撮影
そう、猛毒のトリカブトです。
トリカブトは花から根っこまで全草毒。トリカブトに含まれるアコニチンという毒素は致死量が2~6gで、食べると嘔吐や下痢・呼吸困難などから死に至るそうです。昔アイヌの人々は狩猟用の毒矢の毒として使用したとか。
実は自然界には毒草が普通に自生しています。スイセン、スズラン、ヒガンバナ、ハシリドコロ、オトギリソウ、バイケイソウ等々。もう毒草だらけですね。
一目で毒草とわかる植物をわざわざ食べる人はいないと思いますが、食べられる植物が毒草に似ていることがあるのが怖いところです。
例えばこのトリカブトの切れ込みの入った葉っぱ、何かに似ていませんか? そうヨモギの葉っぱにそっくりですよね。ただ、ヨモギの葉の裏を見ると白くてザラザラしています。
一方トリカブトは裏もテカテカした緑。更に匂いを嗅げば、ヨモギはヨモギ餅の匂いがするので分かります(本来ヨモギ餅がヨモギの匂いなわけですが(笑))。
ヨモギよりももっとトリカブトの葉にそっくりなのがニリンソウの葉。ニリンソウも昔から若葉が山菜として食べられてきました。花が咲いていれば見分けがつくのですが、葉っぱだけだとわかりませんよね。
何故こんなに似ているのでしょうか。しかもお互いが近い場所に群落を形成していることが多いようです。
<葉がトリカブトにそっくりなニリンソウ>
ハエの仲間であるハナアブは黒と黄の体からよくハチに間違われますが、これはスズメバチに似ることによって捕食者から身を守る擬態と言われています。
同じように植物にも擬態ってあるのでしょうか。トリカブトの傍で葉を似せることによって花が咲く前に食べられることから身を守ってきたとか???
他にも春先にスイセンの花が咲く前の葉っぱだけの時に、ニラや山菜のカンゾウ、ノビル等と間違えて食べてしまい、食中毒になったり残念な事故が毎年のように起きていますね。あとバイケイソウの葉っぱは、山菜のウルイ(オオバギボウシ)にそっくり。
またきれいな花だからと毒草を食卓のテーブルに飾ったりするのも危険です。花粉が落ちて食事に降りかかる可能性が・・・。
山菜に似ている毒草については、こちらのホームページに詳しく出ていますね。
皆さまくれぐれもお気を付けください。
ただし、国立公園では利用上のマナーとして花や植物を採らないようにお願いしています。「とっていいのは写真だけ!」※それもコロナが終わってからにしましょう
********************************************************************************
妙高戸隠連山国立公園では、コロナウイルス感染拡大防止に関する政府や各自治体の方針を受け、都道府県をまたいでの不要不急の来訪や、感染リスクが高まるような行動の自粛をお願いしています。お出かけの前に、各自治体や訪問先が発信している情報をご確認ください。早期収束に向け、みなさまのご理解ご協力をお願いいたします。
なお、この投稿は「#STAYHOME おうちで国立公園を楽しもう!プロジェクト」に基づいて実施しています。