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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

志賀高原ロマン美術館 「山の姿 高原の景色」展

2019年10月16日
志賀高原 則武敏史

こんにちは、上信越高原国立公園の志賀高原です。

長野県山ノ内町にある「志賀高原ロマン美術館」では、上信越高原国立公園制定70周年記念展 「山の姿 高原の景色」が開催されています。

   

この企画展は、上信越高原国立公園指定70周年を記念して、山ノ内町立志賀高原ロマン美術館が開催するもので、美術館のコレクションに加え、小杉放菴記念日光美術館よりお借りした日本を代表する近代洋画家たちの目線で捉えた国立公園の絵画や、東御市丸山晩霞記念館からお借りした、丸山晩霞が描いた《山ノ内風景》などが特別公開されます。

絵画をとおして信州をはじめとした日本の原風景とも言える国立公園の自然風景を巡るものです。

普段は見ることの出来ない貴重な国立公園の絵画の数々を、ぜひこの機会にお楽しみください。

会場:山ノ内町立 志賀高原ロマン美術館

会期:2019年10月5日(土)から2019年12月8日(日)まで 木曜休館

開館時間 9:00から17:00まで(入館は16:30まで)

入館料 大人 500円 小中学生 300円

協力:小杉放菴記念日光美術館、丸山晩霞記念館

※アクセスは美術館のwebページをご覧ください。<http://www.s-roman.sakura.ne.jp/>

山ノ内町の中心部から志賀高原へ行く途中の上林(かんばやし)にあります。上林はスノーモンキーで有名な地獄谷野猿公苑(じごくだにやえんこうえん)の入口に当たります。

さて、絵画を見た後は、展示されている絵画の景色を見るために国立公園を訪れてみませんか?

描かれた景色が、現在はどのように変わったか、あるいは変わっていないのか確かめてみるのも面白いかもしれません。

例えば、チラシ表面に使われている児島 善三郎 1953年「発哺よりの展望」が書かれた、志賀高原の発哺(ほっぽ)温泉で絵と似た構図で写真を撮影しました。発哺温泉は志賀高原で最も古い歴史を持つ温泉の一つです。

「発哺よりの展望」から変化したこと

・変化が分かりやすいのは、写真の手前左側の建物と手前右側の宿泊施設があることです。手前左側の建物は東館山(ひがしたてやま)山頂(撮影者の背中側)に向かうゴンドラの山麓駅舎です。ゴンドラ及び宿泊施設の開業年は絵が描かれた後なので、景色が変わっています。

・絵では左側の斜面中腹に建物がいくつか描かれています。おそらく宿泊施設だと考えられます。写真では建物が増えています。志賀高原では、絵が描かれた頃からゲレンデスキーの利用者が増え始め、それに伴い宿泊施設が拡充しています。

・この写真を撮影した場所は斜面から張り出して造られた駐車スペースです。描かれた当時になかったものだと思うので、これも変化です。

あまり変化していないこと

・絵では山の斜面の所々に濃い緑で描かれている木が混じっています。現在も所々に常緑の針葉樹が混じる植生であり、描かれた当時から大きな変化はないように感じます。もう少し紅葉の進んだ時期の写真だと分かりやすいのですが(2019年10月10日撮影)。

・絵でも写真でも左側奥に見える山並みは北アルプス(中部山岳国立公園)です。遠くにあるので変化を感じ取りにくいです。

変化していないように見えること

・1960年から2011年まで、写真を撮影した付近から谷を挟んで写真左側の斜面中腹に向かって志賀高原ロープウェイが運行していました。現在は鉄塔、ケーブル及び写真を撮影した側の旧駅舎は撤去されています。このため、絵が描かれた1953年から2019年の期間の大部分は景色に変化があったものの、1953年と2019年を単に比べる場合は変化していないように見えます。

なお、志賀高原ロープウェイのもう一方の旧駅舎は「志賀高原 山の駅」としてリノベーションされ、かつてのロープウェイ発着所が展望所として残されています。ここからの眺めは上の写真を撮影した発哺温泉を望むことになります。この「山の駅」は、食堂、売店、休憩などに利用できます。