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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

~藤前干潟をフィールドとして学習~

2019年03月12日
国指定藤前干潟鳥獣保護区 山﨑 陽子

皆さま、こんにちは。アクティブレンジャーの山﨑です。

あっという間に3月に入り、最近は暖かい日も増えて来ました。

先日、地元の野跡小学校の4年生が1年間を通して藤前干潟の学習をし、学習の最後のまとめとして、稲永ビジターセンターで清掃活動を実施しました。

この1年間、藤前干潟を地元ならではのフィールド学習として、どんな風に取り組んできたのかをご紹介したいと思います。

<4月>

稲永ビジターセンターに来館し、稲永ビジターセンターのスタッフの案内で、DVDを見たり、館内の展示物などを使って藤前干潟について学習をしました。

<6月>

AR(アクティブレンジャー)が行う出前講座で「干潟ってどんな所?・藤前の生きものたち・藤前干潟がこまっている?」などの学習やシジミの浄化実験を通して干潟の重要性を学びました。

→出前講座の報告はこちらでもご覧いただけます。

<http://chubu.env.go.jp/wildlife/mat/m_1_1_6.html>

<6月末>

稲永ビジターセンタースタッフの案内で、実際に干潟に入り、カニなどの生きもの観察を行いました。

<9月>

児童集会で学習したことを他の学年のみんなに知ってもらうため、手作りで藤前干潟を再現した劇を発表しました。干潟の紹介をする博士役、トビハゼ、カニ役など、クイズ形式で干潟の仕組みなどを紹介し、他の学年の児童たちは熱心に見入っていました。

<3月>

1年間の学習の最後のまとめとして、4年生みんなで藤前干潟の清掃活動を行いました。また、稲永ビジターセンターのスタッフから、マイクロプラスチックのお話しもあり、みんながごみを拾った場所にも無数にそれはありました。「土ごと拾えばいい、でも干潟の土がなくなってしまう・・・」などの意見が出て、それぞれが考えてくれる場面がありました。

担任の先生と4年生のみなさんに清掃活動で感じたこと、1年間藤前干潟を学習してきて印象に残ったことなどをインタビューさせていただいたので、ご紹介したいと思います。

【担任の先生の感想】

今回の清掃で感じたことは、大きいごみより細かいごみが多い。もともとあったものではなく、流れてきたようなごみがたくさんあるので、それを見て今まで勉強してきたこと、「山・川・海は繋がっている、自分たちの住んでいる所から流れてきている、昔、埋立られる計画が持ち上がり、干潟がなくなるかもしれなかったこと」など、実際に藤前干潟で清掃活動を通して、ごみの様子をみて実感しているように感じる。

藤前干潟を学習してからは、関心を持ち、休みの日に藤前干潟に来る子もいるようだ。ここはとても有名な所で大事にしていかなくてはいけない場所であることを年間の学習を通して理解出来たと思う。

子どもたちを連れて来るのは大変だが、いつも楽しみにしている。

ごみを捨ててはいけない、また、それを注意できる人になってくれると嬉しいと思う。

【子ども達の清掃活動の感想】

・缶やペットボトル、ディスク、注射器、袋、布団などがあった。

・ペットボトルがないのにキャップだけがたくさんあった。

・捨てずにリサイクル出来るものはすればいいのに、と思う。

・いろんな人にごみを無くしてほしい。

・実際藤前干潟でごみ拾いをして、たくさんごみが流れ着いているのを見て、環境のことを気にしていない人がいるんだ、と嫌な思いをした。

【藤前干潟の感想】

・鳥の名前や干潟のいろんなことを知ることが出来た。

・藤前干潟はいろんな生き物がいてすごいと思った。

子ども達の意見を聞いて、担任の先生の思いがとても伝わっているのでは、と感じました。

清掃活動の最後にそれぞれのグループが干潟についてまとめたポスターの贈呈式が行われました。

こちらは稲永ビジターセンターで大切に展示させていただきます。

それぞれ違うタイトルでまとめがしてあり、学習したこと、感想が書かれていました。

・ラムサール条約について

・環境問題について

・藤前干潟の鳥たち

・藤前干潟が大変!

・藤前干潟の歴史

・鳥以外の生きものについて

これからも藤前干潟やごみ問題に関心を持ち、学習したことを思い出してくれると嬉しいです。