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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

ニホンザル対策の報告会 その2

2019年01月17日
上高地 関根陽太

こんにちは。

先日のAR日記に書いた、研修会での内容をざっくり書きたいと思います。

上高地のニホンザルは特別な種類ではないですが、次のような特徴があります。

・極寒の地(冬は-20℃近い日もある)に通年で暮らす

 ・高山帯に登る(1,500m付近から3,000m峰まで利用する群れもある)

 ・水生昆虫を食べる

 ・人間に依存しない

サルの仲間は熱帯地方に多くが分布し、

世界から見ても日本の雪国にサルが生息していること自体が珍しいのです!

そのなかでも、上高地のサルは人間からエサや農作物を得ていなく自立していて、
学術的にも貴重な個体群と言われています!!

そんな貴重なサルですが、

H18頃から売店前の水槽で冷やしていたリンゴを取って食べてしまう案件が多くなってきました。

エサを介してしまうと人慣れが一気に進行してしまい、

他の国立公園や観光地でもみられるように、
人に飛びついたり、物を奪ったりするようになってしまいます。

そこから、上高地関係者と管理官事務所が協力して、

食品管理強化や追い払いの講習会、エサやりの注意喚起を行ってきました。

今年は、管理官事務所の事業の一環で、

自然公園財団に野生生物専門対策員を雇用していただき、

巡視や追い払い、普及啓発活動などを行ってもらいました。

外国人利用者も多いため、英語と中国語で伝えられるボードを作成しました。

このように10年以上対策に取り組んでいる上高地ですが、

人慣れが進み威嚇行動が見られてきたが、直接人間に襲いかかることはほとんどありません。

他地域のように劇的に悲惨な状況にはなっていなく、

なんとか現状維持できていることは取り組みの成果だと思います。

今後も上高地では、追い払いの実施と利用者への普及啓発に地域で取り組んでいこうと思います。

また、近年はハシブトガラスに弁当やおやつを取られる案件も出てきています。

ハシブトガラスは上高地の生態系の一員ですが、

このままではサルと同じように問題となってしまいます。

カラスについても試行錯誤の始まりです。