アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]
続・巡視のこと ~赤い看板やフラッグのついた鳥~
2018年11月12日みなさま、藤前干潟からこんにちは。
アクティブレンジャーの西部です。
先日、山﨑ARから私たち名古屋自然保護官事務所のメンバーによる鳥獣保護区巡視の報告がありました。
今日は、巡視の時に私たちが何をチェックしているのか、少しご紹介したいと思います。
まずは、これ。ご存知ですか?
<鳥獣保護区を示す制札、いわゆる看板>
この赤い看板が指定の位置にちゃんと立っているか、壊れていないかなどを確認します。
山に登られる方などは、見たことがあるかもしれません。
見たことないな、知らないよ、と言う方は、ぜひ今度山に行かれる際には探してみてください。
写真では「環境省」となっていますが、これが都道府県になっていることもあります。
鳥獣保護区は国または都道府県のどちらかで指定されるのですが、「環境省」と言う文字が入っている場合は、国指定の鳥獣保護区、と言うことがわかります。
そして、なんといってもその季節ごとの鳥獣保護区の様子。
<11月5日:セグロカモメとハマシギの群れ>
寒い季節には人間界でもインフルエンザが流行りますが、鳥界でもインフルエンザが流行ることがあるため、鳥たちの様子も巡視の際には観察しています。
<ヨシ原が夏の緑から、薄茶色へと変化し、秋の色合い>
山﨑ARが日記に書いてくれた巡視の日には、なんと飛来したハマシギの中に「フラッグ」をつけたハマシギが混じっていました。
<どのハマシギにフラッグがついているか、わかります?>
アップしてみましょう。
<左から3番目:フラッグのついたハマシギ>
このようなフラッグを「標識」と言いますが、これは渡り鳥の生態を解明するために考えられた調査として行われているものです。
環境省では、金属の足環を使って調査を実施していますが、その他の国や調査によってはカラーフラッグを使用している場合もあり、カラーの組み合わせや装着している部位などによって取り付けられた日時や場所などが分かるようになっています。
このような調査から、渡り鳥がどのようなルートを通って渡りを行っているのか、何年くらい生きるのか、と言った様々なことがわかってきています。
いつも観察しているフィールドの鳥たちの中に、こうしたフラッグを付けた鳥を見つけるのも楽しいですね。
もしも、こうした鳥を見つけた方は、ぜひ下記までお知らせください。
自分の見つけた情報が調査に一役買っている、と思うとワクワクしませんか?
http://www.yamashina.or.jp/hp/ashiwa/ashiwa_index.html#ashiwa
ちなみに、このハマシギは、カムチャッカ半島で放鳥されたとのことです。
標識調査について、もっと詳しく知りたい!と言う方は、ぜひ下記を参照してみてください。
●鳥類標識調査
http://www.biodic.go.jp/banding/index.html
●(公財)山階鳥類研究所
http://www.yamashina.or.jp/hp/ashiwa/ashiwa_index.html#ashiwa
●渡り鳥に関する情報
http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/bird_flu/migratory/index.html
このほかにも、巡視の際には不法投棄や密猟、危険行為をする人などがいないか等、様々なことを確認します。
藤前干潟で双眼鏡を持って、揃いの緑色の服で歩いている人たちを見かけたら、それはもしかすると名古屋自然保護官事務所のメンバーかもしれません。