アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]
万座温泉:硫化水素ガス定期監視
2018年07月31日7月31日(火)、万座温泉にて、草津白根山系硫化水素ガス安全対策連絡協議会主催の硫化水素ガスの定期監視を行いました。
万座温泉は硫黄を多く含んだ泉質で、温泉街を歩くと硫黄の匂いが感じられます。
この匂いは硫化水素(H2S)によるものです。
万座では、有名な「空吹」だけでなく河川沿いのガレ場などでも噴気が出ており、火山のエネルギーを間近に見ることができます。
【噴気】
温泉と切っては切れない硫化水素ガスですが、多量に吸い込むと健康に影響が出る危険性があります。
そこで万座では、毎年4回、火山ガス噴出地に行ってガス濃度や地熱、植生変化などをチェックし、硫化水素ガスの状況を監視しています。
今回は、村役場、環境省のほか、万座自然保護官事務所に来ているインターン生、万座温泉観光協会、消防署、警察署などの方々、総勢9人が参加しました。
検査では危険区域にも立ち入るため、全員ガスマスクを装着します。
【ガスマスク】
測定ポイントまでの道のりは険しく、ガレ場も多く、またガスマスクの呼吸制限も相まって、少しハードな検査となりました。
【いざ、測定ポイントへ】
【川を越えて...】
測定ポイントに着いたら、検知管を使ってガス濃度を測定します。
【測定の様子】
硫化水素の噴出口には、硫黄が析出し、黄色い結晶を形成していました。
触ると熱い!
【析出した硫黄】
【細部】
噴出口周辺では、硫化水素ガス濃度が高いためか多くの虫が死んで横たわっていました。
(虫が苦手な方注意!)
しかし、ヒトの硫化水素ガスの致死濃度ははるかに高いので、すぐには健康被害はありません。
【ガスにやられた虫たち】
測定の結果、今回も例年と大きな変化はなく、無事に検査は終了しました。
他にも万座では、火山ガス噴出地帯を立入禁止にしたり、自動警報装置を設置したり、火山ガスの危険について普及啓発を行ったりと、訪れる方々に安全に楽しんでもらえるよう様々な対策を講じています。
ともあれ、立ち上る噴気は温泉が元気な証拠。
万座温泉は硫黄泉質の素晴らしい温泉なので、一度訪れてみてはいかがでしょうか。