アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]
七ツ島に行ってきました。
2018年05月11日みなさん、こんにちは。
先日の4月23日に能登半島の輪島から約25km沖にある七ツ島にいってまいりました!
七ツ島は「国指定鳥獣保護区」に指定されています。
「国指定鳥獣保護区」とは鳥獣の保護管理を目的に国によって指定された区域のことです。
七ツ島は、以前に大石ARが日記で紹介した「オオミズナギドリ」という鳥の集団繁殖地となっており、
彼らの生息地を守るために環境省では様々な試みを行っています。
そして今回もその試みの1つ。ある生物の痕跡調査です。
みなさん、外来種という言葉を聞いたことはありますか?
外来種とは元々いなかった地域に人為的な理由で他地域から入ってきた生物たちのことです。
身近なものでいえばアメリカザリガニやミシシッピアカミミガメなどがそれにあたります。
良く勘違いされますが外来種は外国から入ってきた生物だけを指すわけではなく、たとえば本州にしかいない生物が沖縄で繁殖しても外来種という扱いになります。
そしてこの外来種が全国的に問題になっております。
「様々な生き物がいる方が良いんじゃない?」と思う方もいるかもしれませんが、生態系とは在来の生物たちの絶妙なバランスによって成り立っており、外来種と役割や生息場所が被った在来種が追いやられてしまったり、在来種が食べられてしまう等、そのバランスが用意に壊されてしまうことがあります。
今回はそんな外来種たちの調査に行ってきたのでした。
調査対象となる外来種はアナウサギです。
アナウサギは約30年前に人の手によって持ち込まれたものが繁殖してしまったものです。
さて、彼らがいることで七ツ島にどういった影響が起こるでしょうか?
影響1.【オオミズナギドリの繁殖の場を奪ってしまう!】
七ツ島の地面は無数の穴が空いています。
(地表に空いた無数の穴)
この穴はオオミズナギドリが巣穴として利用しており、同じく巣穴を必要とするアナウサギとの競合が起こってしまい、オオミズナギドリの繁殖が困難になります。
(負傷したオオミズナギドリ)
影響2.【在来の植物が食べられ、土壌が流出してしまう!】
アナウサギが島の植物を食べる事によって裸地化してしまい、そこから雨や風の影響で土壌が流出してしまいます。
以上のように、様々な影響が起こります。
環境省では、これらの対策としてアナウサギの駆除を行ったり、植生復元マットを設置しています。
彼らは好んでこの場所に来たわけではないけれども、
一度外来種が入ってしまうと、場合によってはとても大きな影響がでてしまう、
今回の調査はそのことを改めて実感できました。
最近はペットを飼いきれずに逃がしてしまう人も多く、逃がした生物が在来の生態系を脅かす事も確認されています。
今ペットを飼っている方、または飼おうと思っている方は、命に対する責任をもって、最期まで大事に飼育してあげてください。
※七ツ島は許可が無ければ上陸できません。