中部地方のアイコン

中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

【実施報告】藤前干潟サイエンスカフェ「フクロエビ類ってなぁに?~ヨコエビをはじめとする小型甲殻類の暮らし~」(藤前干潟ふれあい事業)

2018年01月23日
国指定藤前干潟鳥獣保護区 吉塚藍

先日、毎月実施している干潟の定点調査にて、小さな小さなカニが見つかった藤前干潟からこんにちは。

アクティブ・レンジャーの吉塚です。

(大きさ3mm前後の稚ガニ。現段階カニの種類については分かっていません。やはり若いと透明感があるんですね...!)

定点調査では毎月決められた場所の干潟の泥をザルで濾して、その中に残った生き物をカウントしていますが、これほど小さなカニが生きた状態で見つかるのは珍しいことです。

今年度は何かと小さな生き物たちと縁がありそうです。

さて、そんな小さな生き物たちと縁が続き、先日1月20日(土)に行われた、藤前干潟サイエンスカフェ「フクロエビ類ってなぁに?~ヨコエビをはじめとする小型甲殻類の暮らし~」について、報告させていただきます。

今回のサイエンスカフェの企画は、西部ARの大学の同窓会がきっかけでした。

恩師に生物多様性の観点から、サイエンスカフェの講師を探しているとお願いしたところ、小型甲殻類を研究している田中先生を紹介され、藤前干潟の底辺を支える小さな生き物の重要性ともテーマ性が合うことからを取り上げてみようと思ったことから始まったもので、当日まで、田中先生と実施内容について何度も打合せを重ねて実現したものです。


(会場の様子。司会は西部AR。)

フクロエビ類?ヨコエビ?

と、あまり聞き慣れない(ちょっとマニアックな)生き物がテーマで、人が集まるのか心配しましたが、なんと当初予定していた20名の定員を超え、40名以上の方にお越しいただきました!!

会場となった研修室が一杯になり、ちょっと狭い中でしたが、最後まで楽しんでいただきありがとうございました。

サイエンスカフェということで、飲み物やお菓子を片手にリラックスして、講師の方や参加者みなさんとともに語り合うというほのぼのスタイルのイベント。

今回は、藤前干潟に何度もおいでになったことのある常連の方だけでなく、干潟や生き物については初心者といった方も多く、また、特にご家族での参加もあり、子どもたちも含め、幅広い年齢層の方々にお会いすることができました。

【講師の田中克彦先生。東海大学海洋学部海洋生物学科講師、博士(理学)でいらっしゃいます。】

田中先生は、普段はフクロエビ類のうちウミクワガタ類に属する小型甲殻類の生態学・分類学を専門に研究しているそうです。藤前干潟でよく見つかるフクロエビ類はヨコエビやウミナナフシが多いので、今回は、先生にウミクワガタ類も含んだ、フクロエビ類全体についてスポットを当てて、お話して頂きました。

「フクロエビ類」というのは、その名のイメージ通り、甲殻類の生き物になりますが、私たちが普段目にするエビやカニ、ヤドカリなどの「ホンエビ類」と同じ仲間ですが、これら「ホンエビ類」とはまた違った特徴を持つ生き物のグループです。

お話では、まず始めに、何故フクロと名前が付いているかの由来の紹介や、もっとも自分たちの身近にいるフクロエビ類は、一体何者になるのかというクイズなどがありました。クイズの答えはなんと!

...陸上にいるダンゴムシ(正式名:オカダンゴムシ)でした!!

「え、エビじゃないじゃん!」と、どこかからツッコミが聞こえてきそうですが、実は身近にたくさんいるフクロエビ類について、こんな感じで、先生のお話に引き込まれてスタート。

その後も、大人から子どもまで、クイズ形式も含め、分かりやすい説明をして頂きました。

またお話だけでなく、先生には当日朝、静岡にある研究室から、たくさんの実物標本や実体顕微鏡、また顕微鏡をモニターに映す機器等をお持ち頂き、参加者みなさんで様々なフクロエビ類を観察することができました。普段なかなか触れる機会がない顕微鏡で生き物を覗いたり、実物標本を観察することは、みなさんとても刺激的だった様子で、フクロエビ類などの生き物についてや、また干潟に興味が湧いたというコメントも頂きました。

(顕微鏡を覗く子どもたちと、スクリーンに拡大された映像を見る参加者の皆さん、横で解説する田中先生。遠くから、たくさんの標本や資材の準備、本当にありがとうございました!)

そして、「フクロエビ類」の中に含まれる、体長数mmの小さな生き物である「ヨコエビ」が、藤前干潟でよく見られることを、ぜひお忘れなく!今後も藤前干潟の小さな生き物のことを身近に感じて頂きたいと思いました。

ちなみにカフェに使用したドリンクは、日頃、藤前干潟の普及啓発にご協力頂いているイオンスタイル名古屋茶屋店さんからご提供頂きました!

(コーヒー、紅茶、ココア、カフェオレ、チョコレート等、たくさんのご提供ありがとうございました!)

また名古屋市野鳥観察館や参加者の皆さんからもお菓子のご提供を頂きました。ありがとうございました。とても寒い時期なので、あたたかい飲み物や甘い飲み物、お菓子等のおかげで、ほっとくつろげる時間を過ごしていただけたように思います。

参加された皆さん、講師の田中先生、イオンスタイル名古屋茶屋店さん、藤前干潟ふれあい事業実行委員会の事務局のメンバー、名古屋市野鳥観察館スタッフ、稲永ビジターセンターのスタッフの皆さん、本当にありがとうございました!名古屋自然保護官事務所メンバーもお疲れ様でした!

(会場の様子。大勢の方に来て頂き、スタッフ一同感激しております!)

尚、チラシにあった生き物の名前は以下の通りです。

左から「ナギサクーマ」、「ドロクダムシ」、「フトヒゲソコエビ」になります。

またサイエンスカフェの様子は、名古屋市野鳥観察館のブログにも掲載されています。

http://blog.goo.ne.jp/kansatukan/e/bca9944e93827b6f1576fbea8e0da5d3

サイエンスカフェを通して、私自身、身近な所にも、まだまだ知らない世界がたくさんあることを実感しました。これからもあらゆる事に目を向けていきたいなと思います。

ではでは、まだまだ藤前干潟 "熱" は止まりません!!

今月もあと少し!イベント情報です。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

<レンジャー写真展2017>

国指定藤前干潟鳥獣保護区、白山国立公園、伊勢志摩国立公園の自然を守るレンジャーとアクティブ・レンジャーが撮影した生き物と風景の写真を展示しています。ぜひお買い物と合わせてご覧下さい。

・期間:1月18日(木)~1月31日(水)

・場所:イオンモール名古屋茶屋内 1Fスーパーレジ横スペース

・料金:無料

・問合:環境省名古屋自然保護官事務所

    TEL 052-389-2877

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

名古屋自然保護官事務所のAR日記へのご意見・ご感想がございましたら、ぜひメールをお願い致します。

→ WB-NAGOYA@env.go.jp