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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

長野県内初の氷河 カクネ里雪渓

2018年01月23日
後立山 アクティブレンジャー則武 敏史

こんにちは。

ご存知の方もいらっしゃると思いますが、

中部山岳国立公園にある「カクネ里(さと)雪渓(せっけい)」(長野県大町市)が「氷河」と認められました。

長野県では初めての氷河です。

このニュースの前までは、日本では富山県の3カ所「小窓(こまど)雪渓」、「三ノ窓(さんのまど)雪渓」、「御前沢(ごぜんさわ)雪渓」だけが氷河と認められていました。

この度、カクネ里雪渓とともに富山県の2カ所の雪渓が氷河と認められたことで、日本の氷河は富山県5カ所、長野県1カ所の計6カ所となりました。すべて中部山岳国立公園内にあります。

・日本の氷河6カ所の位置。丸の大きさは、雪渓の大きさを反映したものではありません。

・写真撮影位置は下で紹介する3枚の写真の撮影位置です。氷河は他の場所からも望むことができます。

・図は上が北。

では、それぞれの氷河を紹介します。

■カクネ里雪渓

・長野県大町市にあり、鹿島槍ヶ岳(かしまやりがたけ)の北東の谷に位置します。

<写真中央に「く」の字に灰色っぽく見えるものがカクネ里雪渓です。秋に撮影したので雪渓の面積は小さくなっています。中央の高いところが鹿島槍ヶ岳の山頂部です。撮影場所は遠見尾根の中遠見山付近。平成28年10月4日撮影。>

■御前沢雪渓と内蔵助(くらのすけ)雪渓

・富山県立山町にあり、雄山(おやま)などからなる立山の東斜面に位置します。

<御前沢雪渓は雄山付近の谷に、内蔵助雪渓は富士ノ折立と真砂岳(まさごだけ)の間の谷に位置します。撮影場所は岩小屋沢岳(いわこやさわだけ)付近。平成24年7月19日撮影。>

■小窓雪渓と三ノ窓雪渓

・富山県立山町にあり、剱岳(つるぎだけ)山頂から北に延びる岩稜の東斜面に位置します。

<剱岳から北に延びる岩稜でみられる深い切れ込みは「窓」と呼ばれており、小窓雪渓は小窓谷に、三ノ窓雪渓は三ノ窓谷にあります。撮影場所は種池(たねいけ)小屋から岩沢小屋岳にかけての稜線。平成24年7月19日撮影。>

ここまで日本の氷河6カ所のうち5カ所を写真で紹介しました。

しかし、残り1カ所の「池ノ谷(いけのたん)雪渓」の写真はありません。というのも、池ノ谷雪渓は長野県側(私の担当している区域)から見えないためです。

さて、皆さんも6カ所の氷河を見たいとお考えかもしれません。

6カ所のうち内蔵助雪渓は登山道があるので雪渓に立つことができます。しかし、ほかの5カ所は一般の登山者が近づくことは困難です。

となると、氷河を見ることができる登山道を歩くということになります。上で紹介した写真は、すべて大町市と他市町村の境界である稜線上の登山道から撮影したものです。

次のグリーンシーズン、氷河を望む大町市の稜線を歩いてはいかがでしょうか。