アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]
伊勢志摩を外国人観光客にも、楽しんでもらうために②
2017年12月14日いつもの内容と変わって、今回は観光地としての国立公園についてです。
伊勢志摩国立公園は、世界水準の「ナショナルパーク」としてブランド化し、より多くの訪日外国人に来てもらうための活動に取り組んでいる国立公園の一つです。その活動の一環として、11月に4名の外国人アドバイザーを招いて、外国人対応を行っている或いはこれから行おうとする9つの事業者さんを訪問するツアーが実施されました。
伊勢志摩国立公園は96%以上の面積が民有地で、この地域には古くから人々の文化や歴史、信仰があり、それらが自然と共に見られることが大きな特徴の一つです。海女文化や御食つ国としての食文化、地元の大切な産業である真珠養殖などは、伊勢志摩の豊かな自然に支えられています。
今回は、志摩自然学校さんの「志摩の国 ガイドウォーキング ~灯台と石積みのある波切漁村を歩く~」について書きたいと思います。
「絵描きの町」としても知られる大王町。
とっても絵になる石積みの街並みを歩きます。
天候にも恵まれ、青空を映して海が青く輝きます。
小高い丘の上に、タイムスリップしたかのような歴史を感じる建物が見えてきました。
こちらは、波切節「かつおの天ぱく」さんの鰹いぶし小屋です。
歴史を感じる、趣のある建物です。
白煙が漂う小屋の中で、天ぱくのご主人のお話が始まります。
この志摩市大王町にある波切は、志摩市磯部町にある「伊雑宮」が奈良時代に建てられた頃から、鰹漁が盛んに行われていた場所だったのだそう。
奈良時代、ここ波切(なきり)は「魚切里」と書かれており、鰹節はこの地域の重要な産業だったといいます。その頃から、この地で作られた鰹節が伊勢神宮の御食(お供え物)として奉納されてきたのだといいます。
そして大切なのが、この薪木!
これば「ウバメガシ」という、この辺りではよく目にする木で、備長炭の材料になります。
古くから「里山」として利用されてきたこの地域の森では、人の手が入ることによって自然のバランスが保たれてきました。ウバメガシを薪として使う鰹節小屋の存在が、里山管理に貢献してきたのでしょう。
自然の恵みを受けて育った鰹やウバメガシの木を使い、作った鰹節を神宮の神々に供え、そして自分たちもその後頂く、という営みが昔から脈々と受け継がれてきたことを感じました。
この日本特有の精神性には、外国人アドバイザーたちもとても感心したようです。
かつお燻し小屋を後にし、お散歩は続きます。
ガイドさんが大王崎灯台の見えるロケーションに連れて行ってくれました。
各地に様々な文化がある日本ですが、中には時代の変化と共に失われようとしているものもあります。
そういう魅力を外国に発信していくことで、守っていくお手伝いを出来たらいいなと感じました。
↓今回ご紹介した、波切ツアーに関するお問い合わせはこちら↓
* 志摩自然学校 *
* 波切節「かつおの天ぱく」 *