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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

秋は夕暮れ。

2017年10月24日
名古屋 吉塚藍

猛烈な台風が過ぎ去り、秋の晴れ空に期待する藤前干潟からこんにちは。

アクティブ・レンジャーの吉塚です。

(台風一過の藤前干潟。まだ潮のひき始めのため、干潟はあまり見えていません。)

干潟のシーズンといえば、干潟に入って、どろんこになって遊んだり、泥の中に住む生きものを観察する。夏のイメージが強いですよね。

そんな夏の楽しみ方ももちろんありますが、今回は、秋の藤前干潟はまたひと味違う、とても良いシーズンだということを少しお知らせしたいと思います。

(夕方、ごはんを求めて飛んできたトウネンたち。)

何故なのかといいますと、藤前干潟では、秋になるとちょうど夕日と重なるタイミングで、潮がひいて干潟が出てくることが多くなってきます。するとそこへ、干潟に住む生きものを食べに、渡り鳥が飛んでやってきます。

そうすると、夕日を背景に、渡り鳥たちのシルエットが浮かび上がります。

想像してみて下さい。とても綺麗な絵ですよね♪

その景色を見た時、私は思わず、学生時代の古文で習った「春はあけぼの...」で始まる枕草子の中の一節にある「秋は夕暮れ...」と、秋の愉しみを謳っている箇所があることを思い出しました。

(干潟でごはんを探すシギたち。影になっているのですが、恐らくオバシギだと思われます。)

枕草子は清少納言が書いたとされる文章ですが、大まかな内容(かなり省略してるかもしれませんが...汗)としては、秋は夕暮れが綺麗な季節であり、夕日を背景に鳥たちが山のねぐらに向かって、飛んで行く姿が美しいと謳っています。清少納言は特に遠くへ飛んで行き、小さくなっていく鳥の姿が趣深いと書いてありました。

この詩を読んだ時に、今も昔も綺麗だと思う気持ちは変わらないんだなぁと思いました。

ただこの夕日の中、鳥たちが飛んでいる姿をビル街の中では、あまり見ることがありません。

(夕方、藤前干潟の空を飛ぶタカの仲間。)

そのため、秋の藤前干潟では、この「秋は夕暮れ...」を体感できる場所だと思います。

昔はビルなどありませんから、鳥の群が夕日の中を飛んでいく姿をたくさん見たのかもしれません。

そういう意味で、藤前干潟は日本の原風景を感じさせる部分があります。

秋といえば、紅葉や栗などの美味しい食べ物などが挙げられますが、藤前干潟に来て、おっきな夕日をバックに鳥たちが飛んだり、ごはんを食べたりしている姿を見てみませんか。

(※夕日と干潟が出るタイミングを事前にチェックしてから来て下さいね。天気も重要ですよ!)

カメラもあれば、風流な写真を撮るチャンスですよ♪

おっきな夕日は、これからの時季ということで、私もこれからチャンスを狙いたいと思います!

(夕方せっせと干潟の中のごはん(ゴカイなど)を捕まえるトウネン。結構くちばし突っ込みますね~。)