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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

八方尾根の植生回復

2017年10月16日
後立山 アクティブレンジャー則武 敏史

こんにちは。

10月10日は八方尾根(長野県白馬村)で、地域の団体が主催する植生回復作業に参加しました。裸地化が進んでいる斜面にマットを敷き、在来の種子を播種することで、植生の回復を促す作業です。

地域の方が八方尾根を地域の資源として大切にしていこうという活動の一つで、長野県の「地域発 元気づくり支援金」の交付を受けたものです。

なお、国立公園でこのような作業を行う場合は、事前に最寄りの地方環境事務所、自然環境事務所または自然保護官事務所に問合せをくださいますようお願いします。後立山地区(長野県大町市・白馬村・小谷村、新潟県糸魚川市)の場合は長野自然環境事務所(026-231-6572)へお願いします。



さて、作業前後の写真です。左が作業前、右が作業後です。


写真手前の、植物がほとんど生えていない場所にマットを敷きました。マットは時間が経つと自然に分解される植物の繊維のみからできており、植物の種子、土や肥料は混じっていないものです。

マットの敷設後、付近に生育するのと同じ種類の植物の種をマットの植物の繊維に絡ませるように撒きました。

マットを敷くことで土砂の移動を止める効果が期待できるので、植物が定着する可能性が高くなります。


この斜面は5年ほど前から同様の作業をしています。

写真の奥のほうにケルンと呼ばれる石積みがあります。その斜面下側(写真ではケルンの左下)は生えた草が枯れて茶色くなっています。この場所は5年ほど前にマットを敷いた場所です。当時は草が少なかったのですが、現在では遠景の写真でも草があることが分かるようになっています。

その手前の灰色が目立ち、所々に草が生えている場所は1、2年前にマットを敷いた場所です。ここは、現在はマットのほうが目立ちますが、いずれは植物が目立つようになると思います。

今回マットを敷設した場所も何年か経つと植物が目立つようになることを期待しています。



ちなみに、八方池の岸には、約10年前に同様の作業を行った場所があります。下の写真で、八方池の右側の斜面がその場所です。普通に草が生えていて、かつてほとんど草がなかったというのを想像できないくらいになっています。

<平成29年9月14日撮影>



さて当日、白馬三山は残念ながら雲の中で、また八方池付近では強い風が吹いていました。

<風による波が立っていて、水も濁り気味でした。八方池に写る白馬三山を期待して来られた方には残念な天気でした。>



八方尾根のゴンドラとリフトは10月29日(日曜日)まで営業します。お出かけいただき、お楽しみください。ただし、八方池は標高2,000mを超える場所にあります。八方池まではリフトを降りた後、約1時間ほど歩きます。この際、気温や風の吹き方によっては手袋、帽子があったほうがよいかもしれません。準備をして、お気をつけてお出かけください。