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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

南伊勢町の特別保護地区を調査

2017年10月13日
志摩 アクティブレンジャー 半田俊彦

国立公園には「特別保護地区」といって厳正に景観を保護する地区が指定されています。

伊勢志摩国立公園の特別保護地区は、

内陸部にある伊勢神宮宮域林などの森と、南伊勢町の海岸部に指定されています。

しかし南伊勢町の特別保護地区は離島や半島の先端部など歩いて行けない場所が多く、

なかなか訪れることが出来ません。

そこで先日、伊勢志摩国立公園パークボランティアの活動として、

船をチャーターして南伊勢町神前浦の海岸部を調査してきました。

この日は曇天で暑くもなく、また海面は鏡のように穏やかでした。

まさに海の調査日和です。

「定ノ鼻」と呼ばれている岬の先端部です。

人為による改変がいまだ入らない原生に近い自然を残しており、

厳正な景観の保護を図る必要性の高い地域として

特別保護地区に指定されています。

「弁天島」という無人島です。

周囲はほとんど断崖となっており、常緑樹の巨木やウバメガシの高木、

海岸性のスダジイ林なども存在することなどの理由から、

特別保護地区に指定されています。

しかし、訪れてみるとカワウの営巣などによって大きく被害を受けていました。

「飛鳥池」という海跡湖のある浜です。

ここは第一種特別地域に指定されています。

伊勢志摩地域では、堤防などの人工物が全くない浜は珍しい場所です。

飛鳥池の様子です。

海水の流入がほとんどないようで、水は緑色に濁っており、

水生植物としてはセキショウモだけが見られました。

チョウジソウです。

レッドデータブックに記載される絶滅危惧種ですが、

有毒でシカによる食害を受けないため増えているそうです。

モロコシソウです。

三重県では絶滅危惧種になっています。

これもシカによる食害を受けない植物です。

サカキカズラの大木です。

熱帯のような景観ですね。

伊勢志摩国立公園では珍しく、

人の手がほとんど入っていない原生に近い自然を感じられた一方で、

シカやカワウなどの動物による害についても考えさせられた調査でした。