アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]
上小池周辺の様子&泰澄大師ゆかりの地 刈込池!
2017年07月14日こんにちは。
白峰では最近強い雨が続いています。気温も高くなって空気がじめっとした感じです。
6月28日に福井県の大野市にある上小池周辺の巡視に行ってきました!
パークボランティアの方も参加してくださることになり、初めての巡視なので前日はワクワクしていました。
しかし...当日は朝から天候も悪く、雨もぽつぽつと降り始め、あまり良くない出だしとなりました。
この打波川は雪解け水の供給がない時期でも絶え間なく流れ続けています。
おそらく源流のブナやミズナラなどの樹木や土壌などが水分を蓄え、
少しずつそれを放出しているのでしょう。
この森がなければ雨は一気に下流に流れ洪水を引き起こす危険性もあります。
まさに天然のダムの様な役割をしているといえます。
自然は僕たちに癒やしや感動だけでなく、様々な恩恵をくれます。
本当に感謝しても仕切れないですね!
与えられるだけでなく少しでも環境のために出来ることをやっていきたいと改めて思いました。
登山道には様々な植物が生息していました。PVの方々が沢山教えて下さいました!
(左上:ササユリ 右上:ギンリョウソウ 右下:サンカヨウ 左下:アカモノ
三ノ峰登山口から六本檜までの登山道。6月28日撮影。 )
このイクラに脚が生えたような生物、皆さん知っていますか?
この虫は、ザトウムシといって一見クモの様に見えますが、実際はダニに近い仲間です。
ザトウムシの名前の由来は、江戸時代の階級「座頭」からきています。
触角の様に発達した2対の脚をまるで「座頭」が使う杖のようにして歩く姿から、
そのように呼ばれるようになったそうです。
これはハネカクシという昆虫です。
これまた奇抜な見た目ですが、これでもカブトムシなどと同じ甲虫の仲間です。
甲虫といえば堅い外骨格に覆われていて、大きな翅で飛行する姿を想像するかと思いますが、
一見翅が見当たらないこの虫も飛ぶことが出来ます。
よく見ると細長い腹の上の方に小さくとも青くて綺麗な堅い翅を持っています。
この堅い翅の下に飛ぶための大きな薄い翅を精密に折り畳んでいるというわけです。
まさに「羽隠し」ですね!
このように、自然の中には身近に面白いものがたくさん潜んでいるので、
たまに足を止めて自分の足下を見てみてはいかがでしょうか?
新しい発見や感動が見つかるかもしれません。
(六本檜分岐。右の階段を降りると上小池。奥に進むと三ノ峰。撮影は赤兎山方面の分岐から。)
六本檜は名前の通り大きなヒノキが目印になっていました。
ヒノキの周りには朽ち果てたしめ縄が辺りに散乱していました。
ただの目印として付けたのか、それとも昔はこのヒノキはご神木のような扱いを受けていたのでしょうか?
六本檜に登る頃には天候も良くなり、六本檜からは三ノ峰がよく見えました。
下の写真では若干曇っていますが...
(六本檜から望む三ノ峰。6月28日撮影)
刈込池
(水面に映り込む山が美しい刈込池。6月28日撮影)
(刈込池の水面に突き出た枝に産み付けられたモリアオガエルの卵塊。6月28日撮影。)
刈込池にはある伝説があります。
今から1300年前、泰澄大師という高僧が白山で修行をしていました。
そのころ白山には3000匹の大蛇が住んでおり、白山の麓の住民に悪さをしていました。
それを知った泰澄大師は3000匹の内1000匹を千蛇ヶ池に封じ込め、もう1000匹を白山の蛇塚に埋め、
残り1000匹をこの刈込池に閉じ込めました。
そして刈込池から見える大きな岩(剣ヶ岩)に剣を突き立て、池の水面に映るようにしました。
その後、水面に映る剣を恐れて大蛇は池から出なくなり、平和を取り戻したというお話です。
しかし、そんな伝説があるとは思えないほど、本当に平和な池です。
山に雲がかかっていなければ水面にうつる剣ヶ岩が見られたかもしれません。
今回は見られなくて残念でしたが今度来たときは見てみたいです!