アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]
雪上の小さな出会い
2017年04月20日こんにちは。
立山自然保護官事務所の中山です。
自宅の近くや森、山の中等で様々な植物の花を楽しんでいる方が多いのではないでしょうか。
そんな中でも、立山室堂はまだまだ大量の雪に覆われています。
さて、冬と言えば、スキーやスノーボードといったアクティビティが楽しめますね。
スキー場ではもちろんのことですが、自然のフィールドでもスノーシューやクロスカントリースキーを履いて雪上の散策ができます。
いくら日が差すことがあるとは言え氷点下にもなる雪の世界で、果たして生き物に出会うことはあるでしょうか?
冬の自然観察においては、雪の上にできた動物の足跡や木の枝等の食べ痕、フンといった動物の痕跡を探す「アニマルトラッキング」が楽しめます。
フィールドによって対象の動物は変わりますが、室堂周辺ではやはりライチョウでしょう。
10日には、ライチョウの足跡を見かけました。
【ライチョウの足跡】
真ん中のほう上と下についているのが分かりますか?どちらに向かって歩いて行ったと思いますか?
まだ植物が雪に覆われている中だったので動き始めるのはもう少し先かなと思っていましたが、もしかしたら出会えるかな!?と期待が膨らみました。
少し足跡を追いかけるように歩きましたが、残念ながらその日は出会うことはかないませんでした。
このように痕跡は見つけられても、動物そのものを見つけるのは中々難しいです。
しかし、残雪期になると比較的よく雪の上で見つけることができる昆虫がいます。
それが、「セッケイカワゲラ」の仲間です。
【セッケイカワゲラの仲間】
多くの昆虫は春~秋とある程度暖かい時期に活動が活発であり、翅があって飛ぶことができます。
しかしセッケイカワゲラの仲間は、寒い時期でないと生活できず、暑くなると死んでしまいます。
それに、翅が退化して飛ぶことができないため、成虫は雪の上で過ごしています。
こんな変わった昆虫ですが、一度見つけるとあちこちで見つけられます。
10日に室堂周辺で10匹程度見かけたでしょうか。
とても小さいですが、白い雪の上に黒い昆虫がいるので、意外と目立つものです。
周辺の雪景色は素晴らしいですが、ぜひ足下にも注目してみてください。