アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]
もうすぐ「山の日」 八方尾根でいろいろな花をご覧ください
2016年08月04日こんにちは、中部山岳国立公園(≒ 北アルプス)後立山地区担当です(北アルプス北部の長野県側と新潟県側を担当しています)。
長野県白馬村の「八方尾根(はっぽうおね)」を7月20日に歩きました。
今年は雪解けが早く、7月中旬までには登山道の雪がほとんど消えていたとのことで、当日は雪の上を歩くことはありませんでした。
上る途中はガスで景色は望めませんでしたが、いろいろな花が咲いているのを楽しみながら歩きました。
目立ったのは、雪田植物(せつでんしょくぶつ)と呼ばれる植物の花でした。
高い山では、窪地や稜線の風下側など、雪が吹き溜まる雪田(せつでん)と呼ばれる環境があり、そこに生育する植物を雪田植物と言います。
雪田では、雪が消えるのが周囲に比べて遅くなるので、植物が生長を始める時期も遅くなります。しかし、雪が積もり始める時期は周囲もおおよそ同じなので、植物が生長できる期間(雪が溶けている期間)が周囲に比べて短くなります。こういった環境に生育する植物は、短い期間のうちに、生長し、花を咲かせ、実を結ぶことができるという特徴を持ちます。
<中央にアオノツガザクラ、手前や奥にチングルマ。>
<左:ガンコウラン、右:ミネズオウ。>
また、歩く途中、花の色が黄色で、花の形がよく似ている植物がありました。どれがどういう名前だったかな? と迷っている方もいました。
<左:ミヤマダイコンソウ、中:ミヤマキンバイ、右:ミヤマキンポウゲ>
・花にだけ目が行きがちですが、葉の形も一緒に観察すると区別しやすくなります。
そして、主稜線に近くなると、岩礫地に生える植物が目立ち始めました。
<左:チシマギキョウ、右:イワツメクサ>
このほか、写真を載せませんが、アカモノ、イブキジャコウソウ、シモツケソウ、キヌガサソウ、クガイソウ、クルマユリ、コイワカガミ、コバイケイソウ、タカネマツムシソウ、トモエシオガマ、ニッコウキスゲ、ハクサンイチゲ、ハクサンタイゲキ、ハクサンフウロ、ハッポウウスユキソウ、ミツバオウレン、ミヤマアキノキリンソウ、ミヤマアズマギク、ミヤマコゴメグサ、ミヤマダイモンジソウ、ミヤマムラサキ、ヨツバシオガマなどの花も見ることが出来ました。
稜線に着いたところ、富山県側はガスが切れていて素晴らしい景色を見ることが出来ました。
<右のピークが唐松岳(からまつだけ)。中央左奥のピークが剱岳(つるぎだけ)。その左に立山(たてやま)があるが雲に隠れている。長野県側では青空さえ見えなかったので、より素晴らしい景色に感じました。>
8月11日は「山の日」。いろいろな花と素晴らしい景色を見に八方尾根へお出かけください。
<お知らせ>
「登山計画書の提出が義務付けられます」
長野県は、長野県登山安全条例第20条第1項の規定により、遭難の発生のおそれが高いと認められる山岳の登山道を指定登山道として指定しました。平成28年7月1日より指定登山道を通行しようとするときは、登山計画書の提出が義務付けられます。指定登山道については長野県のページをご覧ください。
<http://www.pref.nagano.lg.jp/kankoki/tozanjorei/tozanjorei.html>
・登山計画書の様式はこのページの上のほう、指定登山道についてはこのページの中ほどにリンクがあります。
なお、今回紹介した八方尾根については、ゴンドラとリフトを利用して入山し唐松岳方面に向かう場合、条例での指定登山口は、八方池から少し唐松岳方面に進んだ所になります。このため、八方池よりも上部へ行く場合に登山計画書の提出が義務付けられます。
・この指定登山口では紙媒体の登山計画書を提出できません。紙媒体の提出場所はゴンドラ乗り場前です(夏季に登山相談所が開設されます)。
・インターネットにつながる環境がある場合は、「長野県ホームページ 電子申請」または「山と自然のネットワーク コンパス」から提出することができます。
<余談(国立公園外)>
八方尾根を上る場合、山麓からゴンドラとリフト2基を乗り継いで行きますが、ゴンドラを下りて1つ目のリフト(アルペンクワッドリフト)では、白馬村キャラクターの「ヴィクトワール・シュヴァルブラン・村男Ⅲ世」の取り付けられた搬器(人が座る椅子)があります。座ることができるかな?