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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

南伊勢町押淵の湿地

2016年06月01日
志摩 アクティブレンジャー 半田俊彦

度会郡南伊勢町の押淵地区には広大な湿地があります。

ここは1999年に50種類以上のトンボが確認されたトンボの楽園で

当時は希少な水生植物も多く生育していました。

 

しかし最近では環境が変化してきており、

なんとかこの湿地を守りたいと地域の方々から声が上がりました。

先日、少しでも力になれればとの思いから、

伊勢志摩国立公園パークボランティア連絡会による

現状の調査を行いました。

 

ここには三重県では絶滅が危惧されるヒメコウホネの群落が点在しています。

黄色い花の咲いている緑の丸い葉がヒメコウホネです。

 

数年前は一面に広がっていたヒメコウホネの群落が、

現在では他の草や樹木に覆われてしまっているところがあります。

 

ニホンカワトンボです。水路沿いにたくさん見られました。

まだ、ほかのトンボ類の発生時期には少し早かったかもしれません。

 

写真の手前側はハンゲショウの群落です。

これが真っ白に変わると思うとすばらしい景観です。

 

現在この湿地では、湧水の減少による乾燥化と植生の遷移が進み、

かつての景観は失われ、またトンボや水生植物などにとっても

環境は悪化しているものと思われます。

さらに、外来種の侵入も問題になっています。

 

6月29日には地区の方による草刈り作業が行われ、

パークボランティアも参加協力しました。

 

湿地の環境を維持していくためには、定期的な撹乱も必要です。

かといって洪水を起こすわけにはいきませんので、

今後は人の手で管理することが必要となってきます。

この貴重な湿地の価値をなるべくたくさんの方に知ってもらい、

保全する力につなげたいと思っています。

 

 

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