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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

*白山と雪のはなし③ 植物との関わり*

2016年03月31日
白山 アクティブレンジャー 小島永莉子

 長いと思っていた冬も過ぎ去り、白山のふもとでも春を感じられるようになりました。もう2ヶ月もすれば本格的な登山シーズンに突入です。白山での楽しみの1つといえば高山植物!ということで、今回は植物たちについて少し紹介します。

 白山には約250種の高山植物が生育すると言われていますが、これだけ数が多いのは地形や雪融けの違いにより多様な生育環境ができ、自然に住み分けがなされているからなのです。中でも雪が与える影響は大きいそうです。白山を歩いていると景色がどんどん変わっていくのと同じように、咲いている花の種類も場所ごとに変わっていきます。                                                                                                                   

                                                                        

観光新道のお花畑

白山のお花畑のイメージといえば観光新道などで見られる高茎草原だと思います。雪が積もる斜面に形成されるというおおまかな特徴がありますが、日当たりや雪崩の頻度などによって生育する植物はばらばらです。ニッコウキスゲやイブキトラノオなどで構成される見応えのあるお花畑は何回見ても感動します。

                                                                             

南竜ヶ馬場のイワイチョウ

南竜ヶ馬場のような水の豊富な湿原ではハクサンコザクラやイワイチョウといった植物が主に生育します。黄色く見えるのがイワイチョウです。

                                                                        

室堂平のクロユリ

雪が遅くまで残る湿潤なところを雪田といい、雪渓から流れ出る水がたくさん供給される場所です。クロユリ、ハクサンコザクラ、コバイケイソウなどが見られます。

                                                                       

山頂付近

雪が吹き飛ぶほどの強風が吹く山頂付近では背の高い植物は育たず、岩にへばりつくようにガンコウランが生育しています。左の写真のマットのように広がっている緑の植物がそれです。風があたらない岩陰でイワギキョウ(写真右)やイワツメクサが見られます。

                                                                       

 簡単に紹介しましたが、水を作り出す"雪"が植物にとってとても重要なことがわかります。今年は本当に雪が少なく、この時期ならまだ真っ白でのっぺりとした綺麗な白山が見られるはずですが、だいぶ表面が見えてきています。今年はどんなお花畑を見せてくれるのでしょうか・・?