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中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

*白山と雪のはなし② 動物たちのくらし*

2015年12月28日
白山国立公園 アクティブレンジャー 小島永莉子

 白山は1年の多くを真っ白な雪に覆われていることから名付けられたと言われています。冬季白山にはどれ程の雪が積もるのでしょうか。残念ながら正確な調査記録は見当たりませんでしたが、高山帯で十数メートルといわれています。冬、大陸からの北西の季節風が発生し、その季節風は日本海を通る際に水分を含み、そのまま白山にぶつかります。そうすると上昇気流が発生し、水分が大量の雪となり白山とそのふもとへ降り積もるのです。

                                                                              

 今月はじめ、雪の白山へ行く機会がありました。空気は冷たく、植物は雪に埋まり、鳥の声が聞こえるだけで、他の生き物の気配はしません。夏場の活気に満ちた白山とはまるで別世界でした。でも・・・

尾根上に登山道が続いていますが、もちろん人間の足跡ではありません

                                                                          

 雪が積もると、普段はあまり姿を見せない動物たちの行動が一目瞭然です。みんな歩きやすい登山道を通っていることがわかります。冬の主な利用者は動物たちのようです。それにしてもたくさんの足跡・・・宴会でもやっていたのでしょうか。

                                                                        

 白山の冬は人間にとってはとても厳しい場所ですが、生き物たちはそんな環境に適応し、生きています。換毛が代表的な例で、ノウサギやオコジョは外敵に見つかりにくいよう、雪と同じ白色に毛が生え換わります。タヌキも冬は別の生き物のようにふっくらしています。これは冬を乗りきるために脂肪を蓄えているからですが、毛足が長い冬毛に生え換わるため大きく見えるのもあります。

                                                                      

 また、動物たちは冬眠するイメージがありますが、実際に冬眠するのはクマやヤマネなど少数で、多くの動物は冬でも活動しています。

これは良くみかけるウサギの足跡です。食べ物を探し回るのでいたる所に足跡が残っています。主に木の皮や葉、冬芽などを食べます                                                                  

ウサギ食べた後、するどくとがっています

ウサギの糞

                                                                          

 カモシカやイノシシ、イタチ、キツネなどもよく足跡が確認されます。木の芽や根、ネズミなどの小動物など、食べ物を探しに冬でも活動しているのです。もちろん動物たちも雪崩に巻き込まれたり、敵に襲われたりする危険性もありますから、彼らにとっても厳しい季節です。そんな中でとても強く、たくましく生きていることがよくわかります。人間も見習いたいものです。

                                                                        

 こうした冬の動物たちの行動は、白山国立公園の入口に位置するブナオ山観察舎(石川県白山市尾添)で観察することができます。観察舎内には望遠鏡や双眼鏡が常設され、職員さんに聞けば使い方や動物の出現情報なども教えてくれます。土・日・祝日にはかんじきハイクもしていますので、ぜひ足をのばしてみてはいかがでしょうか?

 http://www.pref.ishikawa.lg.jp/hakusan/bunao/