中部地方のアイコン

中部地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [中部地区]

志賀高原の「子どもパークレンジャー」

2015年08月17日
志賀高原 アクティブレンジャー則武 敏史

こんにちは、上信越高原国立公園の志賀高原です。

7月19日は「子どもパークレンジャー事業」第1回を長野県山ノ内町で行いました。山ノ内町と高山村の小学生を対象にした催しで、全2回のうち第1回です。


今回の「子どもパークレンジャー事業」は、国立公園であり、志賀高原ユネスコエコパークになっている場所を自然保護官(パークレンジャー)と一緒に歩き、自然観察を通して、自分たちの住んでいる地域の自然環境を知ってもらうプログラムを組みました。テーマは「人と自然との共生」です。

第1回は山ノ内町の「自然探勝コース」を歩いて、「人と自然との共生」の現場を観察します。


■木戸池

<今回のスタート地点。木戸池は、かつては志賀山からの溶岩でせき止められてできた湖(旧志賀湖)の底にありました。湖の水が流れ出た後の凹地に水が溜まり、現在も地下から流入する水があるために、池になっています。>


■田ノ原湿原(その1)

<この湿原は水が豊富で日当たりもよいのに、大きくなる植物は少ない。どうしてかな?>

土の栄養が少ないためです。少ない栄養でも育つことができる植物だけが生えています。

この写真は、そういう植物の一つモウセンゴケを探しています。ちょうど花を付けていました。「コケ」という名前が付いていますが、花を付ける植物です。


■田ノ原湿原(その2)

<見過ごしてしまいそうですが、木道の近くの植物は草丈が高くなっています。どうしてかな?>

植物が大きくなるということは、栄養があるということです。木道を造る時に栄養のある土が混じってしまったのかもしれません。


■原生的な林(その1)

<溶岩の上に木が育っています。この木の「幹」と「根」はどこからで分かれるのかな?>

木の種が岩の上で芽生えました。根は下に向かい、幹は上に向かいます。なので、岩から下に向かっているのは「根」だと考えたほうが分かりやすいです。土の中にあるのが「根」だと考えがちですが。


■原生的な林(その2)

<志賀山の斜面には、このような原生的な林が広がります。三角池付近。>


■人の手が加わった林(その1)

<ダケカンバの林。ダケカンバは落葉樹です。葉が開くのは6月、葉が落ちるのは10月。葉の寿命はたったの4ヶ月から5ヶ月くらいです。長池付近。>


■人の手が加わった林

<ミズナラ、コナラの林。50年くらい前(昭和30年頃)まで炭焼きに使われた林です。その頃までは炭を作って売る、買って使うという生活がありました。近くには炭焼き窯の跡があります。琵琶池付近。>



自然探勝コースは、その名のとおり、いろいろな自然を観察できるコースです。

この日は歩く時間が長かったので、参加者からは、「いろいろなことを観察できてよかった」と同じくらい、「疲れた」という感想もありました。



○赤線が今回歩いたコース。自然探勝コースは木戸池から蓮池まで(約4km、標高差約-160m)だが、琵琶池畔にある炭焼きに使われた林を見るために少し足を伸ばした。

○池や湿原は志賀山からの溶岩の凹地にできている。

○黒線は国道292号線(志賀草津道路)。自然探勝コースは国道に沿うような形になっているので、全線を歩かなくても、興味のある地点で車を降りて観察することも可能。